2023年7月~12月に読んだ本のまとめ。カウント対象は期間中に読み終わったものに限り、読みかけの本は対象外としている。あとコミック、漫画雑誌類もけっこう読んでいるのだけれども、これは除外。
この6カ月では70冊の本を読んだらしい。2023年通年で読んだ本は132冊だったようだ(昨年より7冊多いだけなので、割と平常運転である)。老眼鏡を新調したのが良かったかもしれない。
いつもどおり半期で読んだ本の中で良かったものをピックアップしてみる。
文芸書のおすすめ(一般編)
この本を知ったきっかけは、町田市民文学館で春に行われた今日マチ子さんの 「『わたしの#stayhome日記』2020-2023展」で、京マチ子さんと辻村深月さんの対談を拝聴したことだった。京マチ子さんの展示もコロナ禍をテーマにしたものだったが、本書もまさにコロナ禍がひとつのキーワードの本である。実際にコロナ禍に学生時代がぶつかった現役世代の苦しみと悲しみを知ることは出来ないが、本書を読むことによって共感することはできる。そして共感しておくことは大事だとも思うのである。youtu.be
文芸書のおすすめ(趣味のSF編)
昨年話題になった本ではある。第2次世界大戦中にコンピューター、インターネット、携帯電話が存在しナチスがそれを活用していたらという設定のSF小説である。読み終わった後に思い出すのは「HHhH プラハ、1942年 (創元文芸文庫)」(本書もお薦め)であり、結局のところナチスというもの自体が衝撃的な異質な存在であるということである。この半期にはアーレントや、夜と霧なども読んでいおり、いろいろ考えることがあった。加えて本書は現代の風刺・批評にもなっている。第2次世界大戦が舞台にもかかわらず、現代を感じるのだ。今年前半に「監視資本主義―人類の未来を賭けた闘い」を読んでいたので緊張を感じる。ともかく、脳を刺激する良いSF小説ではないだろうか。教養書のおすすめ
動物たちは何をしゃべっているのか? (WPB eBooks)
愛聴しているポッドキャスト「ゆる言語学ラジオ」で紹介されていたので手に取った本である。シジュウカラ語を研究している(?)研究者・鈴木俊貴先生とゴリラ研究者の山極先生の対談本ということだが、対談故にテーマである動物の話だけではなく、こぼれ話も含めて大変に面白く、楽しい本。我が家は庭に巣箱をかけていて毎年シジュウカラが巣をかけており、日常的にもシジュウカラ語に親しんでいるということもあるのだが、たいへんに楽しめた。とりあえず以下の動画を面白いと感じた人は手に取ってみると良いのではないだろうか。
youtu.be
ビジネス書のおすすめ
一般的にはソフトウェアエンジニア向けの技術書になるのだが、あえてビジネス書としてお勧めしたい一冊である。現代ではすべての仕事にデジタル知識が必要となっているという意味で、ソフトウェア開発をしていない人にもお勧めしたい点がたくさんある一冊だと思う。詳しくは以前に書いた以下の記事も参照いただきたい。どんな本か確認したいのであれば以下の動画の6分~40分を見ると良いだろう。
www.youtube.com
技術書のおすすめ
こちらも数年前に話題になっていた本だと記憶しているが、やっと読んだら大変に良かった。ただし翻訳には難があるので注意である。書籍のテーマは、ビッグテック企業で行われていると呼ばれている面接時の「システム設計をテーマにした試験」対策である。例えば「動画配信システムのアーキテクチャを考え、いま説明してください」というような面接試験が行われており、その時にどう考えて回答するかのヒントが説明されている。これが転じて(転職活動に関わらず)技術者の脳トレに良さそうなのだ。本書はコードまでは踏み込まず、アーキテクチャレベルでどう考えているかに注力しているのもコンパクトで良い。いろいろと技術者的な知的好奇心が満たされる良い本だった。以下にも感想を書いている。
この半期の振り返り
今年は夏休みを中心に「読みたかった名著」を読めたのが良かった。おすすめ書籍では取り扱わなかったが「カラマーゾフの兄弟」「夜と霧」「茶の本」は何れも名著であり、読まずに死ねなかった。一方で、まだまだ読みたい本は沢山ある(それどころか積んである)。来年上半期には積読を解消して、夏休みから下半期にかけては他の大著にもチャレンジしたい。
2023年下半期に読んだ本
- NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)
- NSA 下 (ハヤカワ文庫SF)
- アメリカ紀行 (文春文庫)
- 絵のある人生―見る楽しみ、描く喜び― (岩波新書)
- ガーンズバック変換
- 人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~ ⇒(★書評)
- ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)
- 基礎からわかる 論文の書き方 (講談社現代新書)
- カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
- 祖国とは国語(新潮文庫)
- 文学は予言する(新潮選書)
- すべては1人から始まる――ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力
- 老神介護 (角川書店単行本)
- レペゼン母
- ソフトウェアテストをカイゼンする50のアイデア
- 残月記
- スーパーユーザーなら知っておくべきLinuxシステムの仕組み
- この夏の星を見る (角川書店単行本)
- 動物たちは何をしゃべっているのか? (WPB eBooks)
- カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
- ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと (中公新書)
- そして、よみがえる世界。
- DX失敗学 なぜ成果を生まないのか ⇒(★書評)
- 運動の神話 上
- プロジェクトぴあの(上) (ハヤカワ文庫JA)
- プロジェクトぴあの(下) (ハヤカワ文庫JA)
- わたしたちの登る丘 (文春文庫)
- バリューサイクル・マネジメント ~新しい時代へアップデートし続ける仕組みの作り方
- カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
- 中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
- スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ ⇒(★書評)
- 運動の神話 下
- 無情の月 上 (ハヤカワ文庫SF)
- 無情の月 下 (ハヤカワ文庫SF)
- 今を生きるための現代詩 (講談社現代新書)
- 社会を知るためには (ちくまプリマー新書)
- 1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀
- カラマーゾフの兄弟4 (光文社古典新訳文庫)
- プロダクトマネージャーのしごと 第2版 ―1日目から使える実践ガイド ⇒(★書評)
- 科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)
- カラマーゾフの兄弟5~エピローグ別巻~ (光文社古典新訳文庫)
- 夜と霧 新版
- システム運用アンチパターン ―エンジニアがDevOpsで解決する組織・自動化・コミュニケーション
- 文にあたる
- 安野光雅作品集
- GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた ドキュメントの活用でオフィスなしでも最大の成果を出すグローバル企業のしくみ ⇒(★書評)
- マルドゥック・アノニマス 1 (ハヤカワ文庫JA)
- マルドゥック・アノニマス 2 (ハヤカワ文庫JA)
- ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち (ハーパーBOOKS)
- 大人のいじめ (講談社現代新書)
- システム設計の面接試験 ⇒(★書評)
- 入門 モダンLinux ―オンプレミスからクラウドまで、幅広い知識を会得する
- 鋼鉄紅女 (ハヤカワ文庫SF)
- どこからが病気なの? (ちくまプリマー新書)
- Software Requirements Essentials: Core Practices for Successful Business Analysis (English Edition) ⇒(★書評)
- 新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)
- 社会を変えるには (講談社現代新書)
- 鏖戦【おうせん】/凍月【いてづき】
- 茶の本
- 戦争の地政学 (講談社現代新書)
- 因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか (文春e-book)
- 世界一流エンジニアの思考法 (文春e-book) ⇒(★書評)
- 学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方 (角川文庫)
- 美学への招待 増補版 (中公新書)
- 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫)
- すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)
- シャーロック・ホームズとシャドウェルの影 クトゥルー・ケースブック (ハヤカワ文庫FT)
- シャーロック・ホームズとミスカトニックの怪 クトゥルー・ケースブック (ハヤカワ文庫FT)
- 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢 (講談社現代新書100)
- mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来
過去の読書ふりかえり記事
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あと過去にこんなのも書きました