2023年1月~6月に読んだ本のまとめ。カウント対象は期間中に読み終わったものに限り、読みかけの本は対象外としている。あとコミック、漫画雑誌類もけっこう読んでいるのだけれども、これは除外。
この6カ月では62冊の本を読んだらしい。わりと平常運転すこし多めという感じだが、あらためてふりかえってみると大著や以前から読みたかった本が読めており、自己満足感高め。
いつもどおり半期で読んだ本の中で良かったものをピックアップしてみる。
文芸書のおすすめ(一般編)
「クララとお日さま」と「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」はちょっとSF小説とも言えるのだけれども、あえて一般文芸書として紹介したい。SF小説に不慣れな人にもおすすめだ。
カズオ・イシグロの最新作、といっても2021年発表作である。AIロボットと少女の物語なのだけれども、SF小説というよりは文学作品。
ちなみに映画館ではじめて「M3GAN/ミーガン」の予告編を見た時、最初は本作が映画化されたのかと思った(違う。こちらはホラー映画)。
「SFが読みたい!」2022年国内編の第2位であり、著者は有名なSF小説家なのだけれども……本作もSF小説というより文学作品である。もともと自分がコンテンポラリーダンスに親しんでいたという背景もあるのだけれども(主人公はコンテンポラリーダンサー)、面白くまた未来について考えさせられる良作。
文芸書のおすすめ(趣味のSF編)
「三体0【ゼロ】 球状閃電」はもちろん最高だったのだけれども、あえて「異常【アノマリー】」を推したい。
何を書いてもネタバレになりそうなのだが、驚きが止まらない。読み終わった後、表紙を見つめてしまう。「SFが読みたい!」2022年海外編の第4位
教養書のおすすめ
最近、未来について考える本をよく読んでいる気がする。というわけで「次なる100年―歴史の危機から学ぶこと」「システム・エラー社会 「最適化」至上主義の罠」「監視資本主義―人類の未来を賭けた闘い」を推す。
どうして本書を手に取ったのかは覚えていないのだが、凄い本である。内容の説明はAmazonの紹介ページが最も詳しい。
和書であるが、ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」や「ホモ・デウス」に勝るとも劣らない勢いで現代を論じており強い刺激を受けた。ただし超長い。
テクノロジストの特性(技術の賞賛、最適化重視)が現代の様々な歪みを引き起こしていると論じる本書にはうなずける点も多く、読むなら今だろう、という素晴らしい現代論。スタンフォードで行われているCSと社会科学と倫理学を統合した講義がベースとなっているそうだ。
数年前の世界的ベストセラーということでやっと手に取ったもの。読めば世界観が変わるくらいのインパクトはある。こちらも読むなら今だろう。ただしかし、分厚いだけでなく値段も高価である。とりあえずは書店かKindleのサンプル書籍でよく確認してから読み始めよう。
ビジネス書のおすすめ
人の採用や評価に関わっている人には「経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術」と「みんなのフィードバック大全」がお勧めだが、汎用性で言えば最近読み終わった「「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法 (PHPビジネス新書)」が一番だった。
対話/ダイアローグは、1on1とあわせてビジネス界では大ブームである。しかし我々は「対話」についてどれくらい真剣に考え、実行しているだろうか。本書を読むとぜんぜん出来ていない事がわかり、どうすればいいかがわかる。新書サイズであっという間に読めるのがいい。
技術書のおすすめ
(別に否定するつもりはないのだが)世間では「アジャイル」「DX」的な本が溢れている中で、一番骨太だと思ったのは「継続的デリバリーのソフトウェア工学 もっと早く、もっと良いソフトウェアを作るための秘訣」だ。
詳しい感想は別の記事に書いているが、現代の主流なソフトウェア開発の問題を正面から論じ、改善しようとしている。ベースは(私の理解だと)XPである。
この本が特に良いと思うのは「クラフトマンシップ」を否定している点である。詳しくは上記リンク先をご参照いただきたい。
この半期の振り返り
この6カ月は以前から読みたい本をしっかり読めたという印象。パンデミックもほぼ収束し、在宅勤務ではなくオフィスに出社する頻度も増えてきているので通勤時間という読書時間が確保できているからかもしれない。ただ、文芸書はSF小説ばかり読んでいるのが課題。もうちょっと普通の小説も読むべきだろう。バランスが悪い。村上春樹さんの新刊をまずは読もう。しかしちょうどタイミング悪くハヤカワ書店のKindleセールなどが始まっているので、やはりSF小説の積みが深い。
とりあえず今年後半に絶対読み終えたい本はこんな感じ。
2023年上半期に読んだ本
- WIRED(ワイアード)VOL.47
- 哲学の先生と人生の話をしよう
- 九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション (竹書房文庫)
- 人と組織の行動科学
- 法治の獣 (ハヤカワ文庫JA)
- Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔 (文春文庫)
- 美術展ぴあ2023
- デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー 組織のデジタル化から、分断を乗り越えて組織変革にたどりつくまで⇒(★書評)
- 事業をエンジニアリングする技術者たち ― フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場
- 異常論文 (ハヤカワ文庫JA)
- 三体0【ゼロ】 球状閃電
- なめらかな社会とその敵 ──PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論 (ちくま学芸文庫)
- ゴジラ S.P<シンギュラポイント> (ジャンプジェイブックスDIGITAL)
- マルドゥック・スクランブル The 1st Compression─圧縮 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
- マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion─燃焼 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
- マルドゥック・スクランブル The 3rd Exhaust─排気 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
- カムパネルラ (創元SF文庫)
- 単体テストの考え方/使い方⇒(★書評1、★書評2)
- 葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
- 実力も運のうち 能力主義は正義か?
- Winny 天才プログラマー金子勇との7年半 (NextPublishing)
- 第二開国 (角川書店単行本)
- 異常【アノマリー】
- そのうちプラン
- 見抜く力――びびらない、騙されない。
- アマゾンの最強の働き方――Working Backwards
- 密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック (宝島社文庫)
- WORKSIGHT[ワークサイト]18号 われらゾンビ We Zombies WORKSIGHT[ワークサイト]18号 われらゾンビ We Zombies
- タテ社会の人間関係 単一社会の理論 (講談社現代新書)
- はじめての短歌 (河出文庫)
- SREエンタープライズロードマップ
- クララとお日さま
- かがみの孤城
- 現代思想入門 (講談社現代新書)
- プロトコル・オブ・ヒューマニティ
- あの人と短歌
- 継続的デリバリーのソフトウェア工学 もっと早く、もっと良いソフトウェアを作るための秘訣⇒(★書評)
- 僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回 (集英社文芸単行本)
- AI 2041 人工知能が変える20年後の未来 (文春e-book)
- 料理と利他
- 次なる100年―歴史の危機から学ぶこと
- マルドゥック・ヴェロシティ1 新装版
- マルドゥック・ヴェロシティ2 新装版
- 私たちはどう学んでいるのか ――創発から見る認知の変化 (ちくまプリマー新書)
- 経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術
- From Tokyo わたしの#stayhome日記2022-2023
- はじめてのスピノザ 自由へのエチカ (講談社現代新書)
- マルドゥック・ヴェロシティ3 新装版
- 掃除機探偵の推理と冒険 (ハヤカワ文庫JA)
- プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」
- 流浪地球 (角川書店単行本)
- 一人称単数 (文春文庫)
- システム・エラー社会 「最適化」至上主義の罠
- 硝子の塔の殺人
- みんなのフィードバック大全⇒(★紹介)
- アナベル・アノマリー (徳間文庫)
- ロジカル・シンキング練習帳―論理的な考え方と書き方の基本を学ぶ51問
- 要件最適アーキテクチャ戦略⇒(★書評1、★書評2)
- 料理の四面体 (中公文庫)
- 監視資本主義―人類の未来を賭けた闘い
- 「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法 (PHPビジネス新書)
- WIRED(ワイアード)VOL.48
過去の読書ふりかえり記事
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あと過去にこんなのも書きました