先日、オライリーのSNSキャンペーンで当選して「プロダクトマネージャーのしごと 第2版 ―1日目から使える実践ガイド」をプレゼントいただいた(皆さんも根気強く申し込みましょう)。自分は普段プロダクトマネジメントを仕事としているわけではない(サポートすることはある)のだけれども、どっこい本書はそんな私にも使える、というよりむしろデジタル仕事全般について役立ちそうな本であった。どうしてそう感じたのかを説明する。
「プロダクトマネージャーのしごと 第2版」の紹介
ソフトウェア業界におけるデジタルプロダクトのマネジメントをする人=プロダクトマネージャーの「やるべき事」ではなく、「気をつけるべきこと」について書かれた本である。よって、プロダクトマネジメントの方法論ではないため、プロダクトマネジメントを行う人が一冊目に読む本ではないと思う。二冊目でもないかも。本の紹介は訳者のryuzeeさんのこのページがおすすめ→ 【資料公開】プロダクトマネージャーのしごと | Ryuzee.com
- 本書では方法論としては以下のような書籍を推奨している
- 本書が翻訳書であるので紹介されている書籍も当然翻訳書だが、日本では及川氏が書いた本もあり、これは大変わかりやすかった
汎用的なデジタルリーダーシップ本として読めるのでは?
本書の冒頭で語られるプロダクトマネージャの責任はこのようになっている。
- チームメンバーのベストを引き出す
- 自分と一緒に働く直接のインセンティブがないような、自分の直属のチーム以外の人と一緒に働く
- 曖昧さに対処する
確かに、人に実際に価値を提供できるプロダクトを生み出すのは、プロダクトマネジメントにおける最も重要な側面の1つで、やりがいもあります!でも、こういったプロダクトを届けるための日々の仕事は、コミュニケーションやファシリテーション、支援の仕事のほうが多く、作るという仕事はそれより少ないのです。
これ、プロダクトは関係なく、デジタルに関連したITエンジニアと共同作業する全ての仕事に共通する話なのでは……
実際この後の本書の内容は、ソフトウェア開発のプロジェクトマネージャーだろうと、ソフトウェア開発組織のラインマネージャーであろうと共通的な仕事で考えるべき論点を多く取り扱っている本である。というわけでプロダクトマネジメントに関係ない人ももっと読んだ方がよい良書だというのがわたしの感想である。
お気に入りの(プロダクトマネジメントに関係なく)使えそうな内容の紹介
- 1章 プロダクトマネジメントの実践
- 「終わらせる必要があれば、それがあなたの仕事である」 ああ、そうだね(白目)
- 4章 過剰コミュニケーションの技術
- 「コミュニケーションはあなたの仕事。仕事をすることで謝罪してはいけない」 勇気をもらった
- 5章 シニアステークホルダーと働く(ポーカーゲームをする)
- 章タイトルだけで泣ける
- 「警告なしで驚かさない」「社内政治の世界でユーザー中心主義を貫く」「シニアステークホルダーも人間だ」 グサグサくる
- 7章 「ベストプラクティス」のワーストなところ
- この章が一番好きです
- 「フレームワークやモデルは有用なフィクション」 知ってる
- 8章 アジャイルについての素晴らしくも残念な真実
- 9章 ドキュメントは無限に時間を浪費する(そう、ロードマップもドキュメント)
- ドキュメントを書くことの重要性と、一方で効率性に関することが述べられており有用な章。
- 「メニューは食事ではない」 この言葉が重い
- 11章 「データ、舵を取れ!」
- 12章 優先順位づけ:すべてのよりどころ
- この章もいいことがいっぱい書かれていて悶絶する
- 13章 おうちでやってみよう:リモートワークの試練と困難
- 「さまざまな人たちからなるさまざまなチーム間で信頼関係を築くための唯一のレシピや戦術ハンドブックはありません」 気づいています
というわけで本書はとてもオススメである。
プレゼントでいただいた物理書籍はオフィスに置いて、電子版も買った(電子版はAmazonではなく、オライリーのサイトからの購入となる)。