勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

2020年下半期に読んだ本まとめ

2020年7月~12月に読んだ本のまとめ。カウント対象は期間中に読み終わったものに限り、読みかけの本は対象外としている。あとコミック、漫画雑誌類もけっこう読んでいるのだけれども、これは除外。(コミック類は主に コミックDAYS のサブスクかKindleで読んでいる)

2020年下半期に読んだ本

  1. The Remote Facilitator's Pocket Guide (English Edition)
  2. WORK MILL with Forbes JAPAN EXTRA ISSUE (日本語) 雑誌
  3. Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる
  4. 仕事ごっこ ~その“あたりまえ”、いまどき必要ですか?
  5. HELLO WORLD (集英社文庫)
  6. WIRED(ワイアード)VOL.37 (6月23日発売)
  7. 世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
  8. OODA LOOP(ウーダループ)
  9. プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?
  10. これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
  11. GIG WORK(ギグワーク) 組織に殺されず 死ぬまで「時間」も「お金」も自由になる ずるい働き方
  12. ブラックアウト
  13. 目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)
  14. 三体Ⅱ 黒暗森林(上)
  15. 三体Ⅱ 黒暗森林(下)
  16. 岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)
  17. Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち
  18. More Effective Agile “ソフトウェアリーダー”になるための28の道標
  19. 西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)
  20. THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
  21. わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる
  22. アルゴリズム フェアネス もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと
  23. 「読まなくてもいい本」の読書案内 ──知の最前線を5日間で探検する (ちくま文庫)
  24. オール・クリア1
  25. オール・クリア2
  26. 都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
  27. WIRED(ワイアード)VOL.38
  28. コンテキストデザイン
  29. モダン・ソフトウェアエンジニアリング
  30. 小林カツ代のお料理入門 (文春新書)
  31. 〈あの絵〉のまえで (幻冬舎単行本)
  32. NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝
  33. ビジネスケース『キーエンス~驚異的な業績を生み続ける経営哲学』―一橋ビジネスレビューe新書No.7
  34. 運用設計の教科書 ~現場で困らないITサービスマネジメントの実践ノウハウ
  35. 透明性
  36. 日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA)
  37. Retrospectives Antipatterns (English Edition)
  38. ザ・フォックス (角川書店単行本)
  39. 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来 (日本経済新聞出版)
  40. システム障害対応の教科書
  41. 日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)
  42. タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源
  43. Zombie Scrum Survival Guide (English Edition)
  44. 死神の棋譜
  45. 遅いインターネット (NewsPicks Book)
  46. 栗本薫・中島梓傑作電子全集5 [新・魔界水滸伝]
  47. The DevOps 勝利をつかめ! 技術的負債を一掃せよ
  48. トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考
  49. 風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)
  50. 合格対策Microsoft認定AZ-900:Microsoft Azure Fundamentalsテキスト&問題集
  51. 風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)
  52. WIRED(ワイアード)VOL.39
  53. D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング)
  54. ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

文芸書のおすすめ(一般編)

振り返るとSF以外の一般文芸書をあまり読んでいなかった。とはいえ、ダントツで推したいのは原田マハさんの「風神雷神」である。原田マハさんが得意とする芸術をテーマにした物語だが、一気に引き込まれて読んでしまった。面白いし、教養も身に付くオススメの本である。
風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)風神雷神 Juppiter,Aeolus(下)

まあ書籍のオビにも書いているくらいだからこれくらいはネタバレにはならないと思うけど、有名な「風神雷神図屏風」を書いた俵屋宗達が実は天正遣欧使節に同行してイタリアまで旅をし、様々な西洋美術に出会っていたという歴史芸術スペクタクルである。なお本書には挿絵などは無いので、主人公たちが出会った建築物や美術作品をWikipediaなどで確認しながら読み進めていくと良さそう。

文芸書のおすすめ(趣味のSF編)

話題となった「三体Ⅱ」はスケール感から結末まで非常に素晴らしかった。けれどこの6か月に読んだ本としてはこちらの三部作の印象のほうが強く残っている。
ブラックアウトオール・クリア1オール・クリア2
いわゆる時間SFの名著である。2060年のオックスフォード大学に通う3人の学生が、第二次大戦中のロンドンを研究するため、タイムトラベルをするのだが・・・というストーリーである。複数の主人公と時間軸で物語が進行するので、メモを取りながら読んでいたが終盤はメモを取る間も惜しく一気読み。

本書は様々な場所でも絶賛されている。そういえば、映画『この世界の片隅に』片渕監督のオススメの本だそうだ。うーん、わかる・・・!

教養書のおすすめ

偶然だが頭足類系の本を複数読んでいていて(「プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?」「タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源」)どちらも大変面白かったのだけれども、振り返ってみるとこの本が大変に良かった。
「読まなくてもいい本」の読書案内 ──知の最前線を5日間で探検する (ちくま文庫)
この本であるが、著者の立場としては

  • 高校生や大学生、若いビジネスパーソン向けに
  • 世にあふれる本が多すぎるという理由から
  • 各分野における「知のパラダイム転換前、後」を概観して
  • 「パラタイム転換前」の本は読書リストから削ってしまえ

という主張の本である。

対象とする分野は

となっていて、切り口も紹介される内容もかなり面白い。
うーん、こんな良き本があったのか、と膝を打った一冊であった。

ビジネス書のおすすめ(マネジメント編)

あまり話題になっていないような気もするけど、本書はズバリ好みの内容だった。
Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる
前作「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」も良かったのだけれども、本書は同書では取り上げられなかった「企業文化」について取り上げるものである。
興味深いのは文中にヒップホップの話が大量に含まれていること(ホロヴィッツはラッパーになりたかったらしい)、一方で我々日本人にはなじみ深い「武士道」「葉隠」「五輪書」も取り上げられているという点である。企業文化について論じるときに何度も紐解きたい一冊である(終章にチェックリストなどがまとめられており便利)。

技術書のおすすめ

いろいろ読んできたけれども、最もお勧めはやはりこれになるだろう。
More Effective Agile “ソフトウェアリーダー”になるための28の道標
タイトルでだいぶ損をしている気がするのだけれども、本書は正確には「アジャイル」の本ではなく、「ソフトウェア開発をうまくやるため」の本である。

アジャイル開発に関するほとんどの書籍はエバンジェリストによって書かれている。エバンジェリストは特定のアジャイルラクティスを提唱しているか、アジャイル全体を奨励している。筆者はアジャイルエバンジェリストではない。筆者は「うまくいくもの」の提唱者であり、「なんの根拠もなく大袈裟な約束をするもの」への反対者である。本書では、意識高い活動としてアジャイルを扱うのではなく、管理的なプラクティスと技術的なプラクティスの集まりとして扱う。ここで扱うプラクティスは、その効果や相互作用をビジネス用語や技術用語で理解できるものである。
More Effective Agile “ソフトウェアリーダー”になるための28の道標「第1章 はじめに」

以前に書いた感想はこちら

この半期の振り返り

割とたくさん本が読めた感覚があったが、タイトル数だけをカウントすると割と普通だった。おそらく分厚い本がネックだったのだと思うのだけれども、電子版には厚みが無いのだ。一方で、いっこうに次に読みたい本が減らないという悩みも続く。引き続き在宅勤務の見込みでもあるので、本の消化が続かないのは気合の問題である。来年は新年から気合を入れて未読本をしばき倒していきたい。