勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

2016年下半期に読んだ本からお勧め図書を選んでみる(文芸、ビジネス、技術書)

上半期に引続き、2016年7月~12月に読んだ本についてふりかえってみるもの。カウント対象は期間中に読み終わったものに限り、読みかけの本は対象外としている。あと雑誌コミック類もけっこう読んでいるのだけれども、これは除外。

2016年下半期に読んだ本を並べてみた

オススメ文芸書編

2016年もいろいろ読んだのだけど、小川洋子さんの『猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)』が最も素晴らしかった。2009年の本なのでもの凄くイマサラ感があるのだけれども、数ある書評にあるように『博士の愛した数式』を超えているという実感あり。チェスを題材としたお話ですが、チェスの知識はまったく必要ない。

猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

その他としては、『聖の青春 (角川文庫)』『楽園のカンヴァス (新潮文庫)』も非常に良かったのだけれども、どちらも前提知識(将棋や美術)をそれなりに備えていないと楽しみきれないかもしれないというところで次点。しかしこの2冊も「読まずに死ねるか」という本である。

オススメビジネス書編

こちらも新旧織り交ぜて読んでいるのだけれども、一つだけ選ぶとしたら『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』をプッシュしたい。前作『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』で非常にわかりやすい形で新たな働き方について提示した著者が、近年の具体的な傾向である「長寿化」をテーマに書いた本である。親世代の高齢化は今まさに直面している問題であるが、それを超えてさらに変化がやってくるという事を改めて認識する事ができる本である。

次点としては『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』も切れ味鋭く、新たな視点観点を付け加えさせてくれる良書。なお本書はテーマだけでなく、人類学者的アプローチで物事を分析するという点でも興味深いものになっている。

オススメ技術書編

すっかり技術書の近著を読めていない(もしくは、積読になっている)のだけれども、『システムテスト自動化 標準ガイド CodeZine BOOKS』は有用度の高い本であった。ツールやテクニックだけでなく戦略的な考え方まで学べる良い読書だった。

それでは、テスト自動化のベンダーという魔法使いにお金を払い、問題を追い払うテストツールという魔法の道具を受け取ってはどうでしょう。ひとたびテストを作ってしまえば、後はツールに任せればいい。なぜそうしないのでしょう。それは、技術が「十分に発達」していないからです。修行を経た者でなければ、魔法の道具は使えません。魔法使いが触れないと、道具は力を失い、腐り始め、バグを見つけるという仕事から完全に離れていってしまうのです。
システムテスト自動化 標準ガイド CodeZine BOOKS

その他、例えば古典的名著と言われる『☆』がKindle化されていたので読んだのだけれども、興味深くはあったがさすがに内容も古く、教養が増した以上の効果は感じられなかった。

オススメしないけど面白かった本

ぶっ飛んでいる作品としては『最後にして最初のアイドル【短篇版】』が良かった。SF小説なのだけれども、内容的にも時空的にも期待をはるかに超えるスケールである。ちなみに本作はラブライブ!2次創作らしいのだが、知識なしでも問題なく楽しめた。

あと以前から興味を持っていた筒井康隆氏の書くラノベビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)』を読んだのだけれども、いろんな意味で想像以上だった。ネットで見かけた評「帯には「それは2010年代の『時をかける少女』」とあるが、さわやかなラベンダーの匂いではなく栗の花の匂いがする」が秀逸すぎる。全力でオススメしない。

2016年の読書振り返り

技術書を中心に、Kindleセールでうっかり購入するペースに読むペースが間に合っておらず、雪だるま式に積読が増えている。非常にまずい状況。現時点でお恥ずかしながら積んでいるのは次の通り。計画的に読み切りたい。

加えていくつかセールになったら購入しようと考えている本もあるわけで、ちょっとペースを上げていかないとまずい。

なお読書にはKindle Paperwhiteの第五世代(2012年)をあいかわらず使用中。最新モデルにするといろいろと便利なのだと思うのだけれども、別に不具合もなくバッテリーも調子が良いので、故障するまでは使い続けそうな予感。