2022年1月~6月に読んだ本のまとめ。カウント対象は期間中に読み終わったものに限り、読みかけの本は対象外としている。あとコミック、漫画雑誌類もけっこう読んでいるのだけれども、これは除外。
この6カ月は69冊の本を読んだらしい(例年より2割増し程度)。自分はストレスが強いと本をたくさん読む傾向があるので、ストレスが高かったのかもしれない。読んだ本の中で良かったものをピックアップしてみる。
文芸書のおすすめ(一般編)
ふりかえってみると、一般ジャンル(つまりSF以外)の小説作品はあまり読んでいなかった。一方でノンフィックション作品はいろいろ読んでいて、その中でも「極夜行 (文春文庫)」が素晴らしかったと思う。心が動かされた。2018年の大佛次郎賞受賞作で、当時から気になったので「いつか読む」リストに放り込んでいたけど4年もたってしまった。登山家で作家の著者が「完全に人間界から隔絶された真っ暗闇の極夜」を目指すという狂気すら感じる作品である。メイド・イン・アビス的というか、もう、すごい。
あとこれは画集というかイラスト集なのだけれども、今日マチ子さんのStayhomeシリーズは気に入っていて何度も見返している。
すでに忘れつつある初期の頃のコロナ禍、そしてあまり記憶にないオリンピックなどの非日常な日々を思い出しつつ、この時代の特殊感をうまく封じ込めている作品集になっている。作品は基本的にInstagramで全て見れるのだけれども、書籍という形で眺めるほうが好き。
文芸書のおすすめ(趣味のSF編)
たくさん読んでた。ソフトウェアエンジニアのファンが多いニール・スティーヴンスンの「7人のイヴ」もやっと読んだし、大長編SFシリーズ「天冥の標」も最終巻まで読み切った。昨年のSF大賞受賞作「博物館惑星」シリーズも読んで、あと最近話題の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」も読んだ。以前から気になっていたカズオ・イシグロの「わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)」も読んだ。うーん、なにがおすすめだろうか(全部おすすめではある)。まあ、やっぱりこれか。
何を書いてもネタバレになるので中身については何も言えないのだけれども、中学2年生の娘にも読ませたら大変感動していた。そして理数系の勉強の重要性を再認識していた。作戦大成功である。
教養書のおすすめ
鉄板のマイケル・ルイス「最悪の予感 パンデミックとの戦い」はもちろん面白かったが、実はまだ上巻した読んでいない「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)」がめっぽう面白かった。ずいぶん前にセールの時に電子積読していたのだけれども、こんなに面白いのであれば早く読むのだったと後悔した。非常に有名かつ面白い「銃・病原菌・鉄」に通じる面白さがある。
はやく下巻を読まなければ。
ビジネス書のおすすめ
この上半期は仕事上でいろいろな課題があって、そのため読んだビジネス書がけっこう多い。困ったらとりあえず図書館に言ったり本を買って読むタイプだ。
あえて1冊選ぶとしたら、有用性という観点では「NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版 (日本経済新聞出版)」が良かった。
マイクロソフトCEO、ナデラ氏絶賛。
世界60カ国以上、100万人超の人たちに読まれている「話し方」の教科書。
NVCさわりだけは知っていたような気がするが、改めて考え方を学ぶと得るものが多かった。本書を読んだ後、すこしは話し方を変えたし、衝突を減らすことができたような気がする。
関連してこちらも読んだらよかった。1on1入門は所属組織で勧められて読んだもの、フィードバック入門は1on1入門で紹介されているものだ。
この2冊については別の記事を書いているので興味があればどうぞ。
技術書のおすすめ
そういえばこの半年、アジャイル開発手法に関する本を読んでいない! まあ興味が離れているってことかもしれない。
いくつか読んだ中で、抽象度は高いが「チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計」の有用度が高かったと思う。
本書についての感想は別の記事を書いている。
この半期の振り返り
全般的には、本を読みすぎである。冊数が増えてしまう理由は
- 強いストレスで、酒に溺れるかわりに本に溺れている
- 図書館の予約図書の回転が早かった(常時予約枠マックスで予約をしているのだが、待ち行列により自分の借りる順番になるのはランダムである)。
というあたり。下半期は少し読書ペースは押さえて、別の事(旅行に行ったり、映画を見たり)をやろう。
なお、6月末にO’Reilly Learning platformのアクセス権が無くなった。
agnozingdays.hatenablog.com
技術書についてはサブスクで読んでいたものも多かったが、これが出来なくなるので技術書の読み方もまた変わってくるような気がする。
2022年上半期に読んだ本
- WIRED(ワイアード)VOL.43
- なんでも図解――絵心ゼロでもできる! 爆速アウトプット術
- アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)
- 1兆ドルコーチ――シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え
- 天冥の標Ⅸ ヒトであるヒトとないヒトと PART2 (ハヤカワ文庫JA)
- はりぼて王国年代記 【週刊だえん問答 第2集】
- 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
- Distance わたしの#stayhome日記
- リボルバー (幻冬舎単行本)
- Creative Selection Apple 創造を生む力
- Docs for Developers: An Engineer’s Field Guide to Technical Writing (English Edition) ⇒(★書評)
- 恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす ⇒(★書評)
- ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)
- ストレスのはなし メカニズムと対処法 (中公新書)
- まちカドかがく (ネコノス文庫)
- 武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
- はじめよう!システム設計 ~要件定義のその後に
- 科学哲学への招待 (ちくま学芸文庫)
- ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法 ⇒(★関連記事)
- フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)
- 生きるとは、自分の物語をつくること(新潮文庫)
- 七人のイヴ 上 (ハヤカワ文庫SF)
- Building Successful Communities of Practice: Discover How Connecting People Makes Better Organisations (English Edition)
- 七人のイヴ 下 (ハヤカワ文庫SF)
- BRAIN DRIVEN ( ブレインドリブン ) パフォーマンスが高まる脳の状態とは BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは
- 天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)
- 天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART2 (ハヤカワ文庫JA)
- 天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)
- 無罪請負人 刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)
- 静寂とは
- More About Software Requirements: Thorny Issues and Practical Advice (Developer Best Practices) (English Edition) ⇒(★書評)
- 不見【みず】の月 博物館惑星Ⅱ (ハヤカワ文庫JA)
- チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計 ⇒(★書評1、★書評2)
- 死なないように稼ぐ。 生き残るビジネスと人材 (ポプラ新書)
- 最悪の予感 パンデミックとの戦い
- 人生の短さについて 他2篇 (光文社古典新訳文庫)
- 「利他」とは何か (集英社新書)
- 歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ (ハヤカワ文庫JA)
- 問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術【DL特典付き(未収録原稿)】
- 書くことについて (角川新書)
- 文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 恋人たちはせーので光る
- ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)
- 宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃 (角川学芸出版単行本)
- INTEGRITY インテグリティ―正しく、美しい意思決定ができるリーダーの「自分軸」のつくり方
- ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)
- QJKJQ (講談社文庫)
- 勉強法 教養講座「情報分析とは何か」 (角川新書)
- Web世代が知らないエンタープライズシステム設計
- 未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術
- プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
- プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
- 極夜行 (文春文庫)
- キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)
- 人間関係のレッスン (講談社現代新書)
- 最難関のリーダーシップ ― 変革をやり遂げる意志とスキル
- 転んでもいい主義のあゆみ 日本のプラグマティズム入門
- 冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)
- NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版 (日本経済新聞出版)
- 超入門 ストーリーでわかる「起業の科学」
- Essential わたしの#stayhome日記2021-2022
- わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
- セキュア・バイ・デザイン ⇒(★書評1、★書評2、★書評3)
- 心理学的経営 個をあるがままに生かす
- バビロン1 ―女― (講談社タイガ)
- バビロン2 ―死― (講談社タイガ)
- 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)
- 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
過去の読書ふりかえり記事
- 2014年に読んだ68冊からお勧め図書を選んでみる(文芸、ビジネス、技術書) - 勘と経験と読経
- 2015年上半期に読んだ本のふりかえり - 勘と経験と読経
- 2015年下半期に読んだ本のふりかえり - 勘と経験と読経
- 2016年上半期に読んだ本からお勧め図書を選んでみる(文芸、ビジネス、技術書) - 勘と経験と読経
- 2016年下半期に読んだ本からお勧め図書を選んでみる(文芸、ビジネス、技術書) - 勘と経験と読経
- 2017年上半期に読んだ本からお勧め図書を選んでみる(文芸、ビジネス、技術書) - 勘と経験と読経
- 2017年下半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2018年上半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2018年下半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2019年上半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2019年下半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2020年上半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2020年下半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2021年上半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
- 2021年下半期に読んだ本まとめ - 勘と経験と読経
あと過去にこんなのも書きました