勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

パタヘネを読む4(付録A、B) #デッドライン読書会

読むのがホネな(積みがちな)技術書やビジネス書を取り上げて2週間の読書期限を課して読んでアウトプットする仮想読書会「デッドライン読書会」の第45回。常時、けっこうな量の積読があるのだけれども、知り合いと読書期日を約束することによって消化が捗るという仕組み。ここ最近はこんな本を読んでいる。

さて、ここしばらくずっと取り組んできた通称パタヘネすなわち「コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 上」の印刷された部分を読んでいくシリーズもいよいよ4スプリント目である。というわけで、付録A、Bを読んだというか目を通した・・・

コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 上コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 下

ちなみに本書の恐ろしいところは、印刷されていない付録が大量にあるというところだ。付録部分もキッチリと翻訳されていて面白そうなのだが、たぶんもう1冊分くらいあるぞ。これはおいおい読んでいきたい。

パタヘネ全体の感想

一般的には難しすぎる本だと思う。読んだ自分を褒めたい。大学の授業でサポートとプレッシャーを受けながら学びたい本。

本書はわたしのような普通のソフトウェア開発に関わる人間にとっても、必読書とはとても言い難い。後輩や同僚に勧めることもないだろう(自慢はするかも)。先人たちの知恵と工夫で、本書に書かれているような基礎を知らなくても平均的なソフトウェア開発をするのは難しくなくなったのだ。

とはいえ、それはあくまで平均的なソフトウェア開発の場合であって、特にパフォーマンスを中心としたシビアな要求やトラブルが発生した際には本書で学んだ知識が活用されることはあると思う。また、新技術に触れる際にも本書の知識は大きく役立つだろう。

とはいえ、難しい。
hak & tomzohちゃんねる の動画が更新されて、復習できるといいなぁ……

今回読んだ範囲の感想

A. アセンブラ、リンカ、SPIM シミュレータ

B. 論理設計の基礎

次回

これでパタヘネを読むシリーズは終了である。次は読む本は何にしますかね(そろそろ、秋の情報処理技術者試験が近くなってきているのだけれども)

おっさんエンジニアの放送大学教養学部に入学記録5(3年目前期終了)

2020年4月から放送大学教養学部「人間と文化コース」に入学して、これまで勉強してこなかった人文系の勉強を始めている。3年目前期が終わったので感想をまとめておく。

目次

3年目前期に履修した科目

何度か書いたけれども卒業を目標にしていないので、半期に2科目受講+1科目聴講を目安にしている。前期は情報処理安全確保支援士の勉強も並行していたので聴講はパスしたけど、今期は元のペースに戻した。というわけで合計3科目を学んでいたことになる。
放送大学に入学した目的は人文系の教養力アップなので、芸術系、哲学系、文化人類学系を中心に選ぶようにしている。

西洋音楽史(’21)

西洋音楽史〔新訂〕 (放送大学教材)

  • ラジオ講座なので映像はなし。講義の中で、さまざまな楽曲の紹介もされる。テキストには譜面が提示されることも多く、譜面を眺めながら曲を聞いてゆく。楽譜が読めて良かった。
  • あらたな良い音楽に出会うというより、知っている様々な楽曲、作曲家、ジャンルについて背景を深く知っていくことを目的とした内容となっている。これが個人的には良かった。知識の解像度が上がった。
  • 範囲については古代ギリシャから19世紀末までがカバーされている。
  • もともとクラシック曲を聞くことも好きだったけれども、より楽しめるようになってよかった。

レジリエンスの諸相(’18)

レジリエンスの諸相―人類史的視点からの挑戦 (放送大学教材)

  • レジリエンスというテーマで分野学科横断的な講義が集められていて、知的好奇心が満たされる良い講座だった。私は科目履修しているのでテキストも読みながら受講したが、テキストが無くても十分に学べそうな印象。興味がある人は放送でチェックしてみると良いかもしれない。
  • エンジニアリングの領域でも、ビジネスでも「レジリエンス」という単語はよく耳にするし、場合によっては重要なテーマになることもある。この「レジリエンス」とは何かということについてよくわかる。様々な学問分野において、レジリエンスの定義はさまざまであるということ、そして研究ではどのように考えられているのかを把握できるのが良い講義だった。
  • 一番なるほどと思ったのは、災害時のレジリエンスモデル(フレームワーク)で、これはもう少し整理してブログに書いておきたいところ。いろいろな応用が効きそう。

心理学概論(’18)

心理学概論 (放送大学教材)

  • この科目のみ、履修ではなく聴講(テキストだけ購入して講座を視聴のみ)したもの。放送大学の「心理と教育」コースの導入科目である(私が所属しているのは「人間と文化」コース)。
  • 導入科目ということで学生が今後どの分野を学んでいくか判断できるように、心理学の各分野を紹介していくという構成なのだが、これが自分にとっても大変に良かった。
  • 仕事においても、さまざまな場所で「心理学」的な要素は大きく関わってくる。エンジニアの立場で身近なのはメンタルヘルスの問題である。またそれ以外にも心理的なバイアスだったり、教育・育成という話も関わってくる。そういった身近な心理学的な話題が、実際には学術的にどう取り扱われているのかということが総合的にわかる講座だった。
  • 文化心理学の説明は特に興味深かったので、ブログ記事を別に書いていた。

来期(3年目後期)の予定

以下を履修予定

うーん、あと実は数学関連の科目も見たいのだけど、10月に情報処理技術者試験も受ける予定なので、それ以降にスタートするかなという感じ。

パタヘネを読む3(第5章〜第6章) #デッドライン読書会

読むのがホネな(積みがちな)技術書やビジネス書を取り上げて2週間の読書期限を課して読んでアウトプットする仮想読書会「デッドライン読書会」の第44回。常時、けっこうな量の積読があるのだけれども、知り合いと読書期日を約束することによって消化が捗るという仕組み。ここ最近はこんな本を読んでいる。

さて、前回、前々回に引続き。通称パタヘネすなわち「コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 上」を読んでいく。1スプリントで2章ずつ読んでいく計画で、今回は3スプリント目である。
コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 上コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 下

パタヘネ第5章〜第6章を読んだ感想

超難しい。読んでいるというより「目を通している」という感覚。
前回、前々回同様、各章の末尾の演習問題はスキップ。
hak & tomzoh - YouTubeで復習したい。

5章 容量と速度の両立:記憶階層の利用

  • 基本的にはメモリの話。改めてコンピュータに関するメモリの話を総合して見てみると、様々なレベルの抽象化によってコンピュータの性能が確保されているというのがよくわかる。
    • 具体的にはキャッシュ、仮想記憶、そして仮想マシン
  • いわゆるオープン系アーキテクチャにおけるVMのサポートはまだ発展途上というのは、あまり意識していなかったので興味深い話だった。

残念ながら、デスクトップおよびPCをベースにしたサーバーのアプリケーションでVMが検討されるようになったのは、ごく最近のことである。そのため、デスクトップやサーバーの命令セットは、仮想化をほとんど考慮に入れずに開発された。x86アーキテクチャに加え、ARMv7やMIPSなどのRISCアーキテクチャも、例外ではない。
(中略)
1970年代のIBMメインフレームやVMMと同じくらい21世紀の仮想マシンが効率的になるためには、どのくらいの期間がかかるだろうか。いずれも興味深い点である。
(5.6 仮想マシン より)

6章 クライアントからクラウドまでの並列プロセッサ

  • 出だしからロマンチックな章!

コンピュータ・アーキテクトはコンピュータ設計上の見果てぬ夢、黄金郷(エルドラド)を長く追い求めてきた。それは、既存の小型コンピュータを多数接続するだけで、強力なコンピュータを実現するという発想である。
(6.1 はじめに より)

Mooreの法則の鈍化、Dennardのスケーリング則の終了、Amdahlの法則に基づくマルチコア性能の実際的な限界が相まって、性能およびエネルギー効率を改善するのに残された道はドメイン固有アーキテクチャ(DSA)しかないという考えに、業界の主流は傾いた。
(6.7 ドメイン固有アーキデキチャ より)

このように極端に大規模なWSC(ウェアハウス・スケール・コンピュータ)は、1970年代のスーパーコンピュータの原題の子孫である。したがって、Seymour Crayは今日のWSCのアーキテクトの父と言えるだろう。
(6.8 クラスタ、ウェアハウス・スケール・コンピュータおよびその他のメッセージ交換型マルチプロセッサ より)

  • この章を読むと、FPGAの勉強も必要という気がちょっとだけしてくる(本章ではPFGAはほとんど扱われていないが、次のスプリントで読む付録B章で扱われているようだ!)

次回

次の2週間は、付録の2章を読む予定。心折れずに完走できるのだろうか……

  • A.アセンブラ、リンカ、SPIMシミュレータ
  • B.論理設計の基礎
    • FPGAも含まれる

データフローダイアグラム(DFD)は要件定義では有用ではない

タイトルは言いすぎかもしれないけど、最近のソフトウェア開発においてDFDを書くことはあまり合理的ではないという話(例外はある)。最近DFDについて相談されたので調べたり考えたりしたことを書く。

データフローダイアグラム(DFD)について

構造化分析モデルの一つで(調べていてびっくりしたのだけれども)トム・デマルコが1979年に書いた「構造化分析とシステム仕様<新装版>」が初出のようだ。えっ、まじか。この本は読んでません。

要件定義の信頼できるテキストである「ソフトウェア要求 第3版」の説明を引用するとこんな感じ。

DFDは、システムの変換プロセス、システムが操作するデータや物理的なモノの集合(ストア)、プロセスとストアと外界の間のデータやモノのフローを明らかにする。データフローモデリングは、システム分析に対して機能分解アプローチをとり、複雑な問題を段階的に詳細化していく。これは、トランザクション処理システムや他の機能集約型のアプリケーションに有効である。
(「ソフトウェア要求 第3版」 12.4 データフローダイアグラム より引用)

すでにここでも注目すべき記載がある。「トランザクション処理システムや他の機能集約型のアプリケーションに有効である」である。つまり、そうではないアプリケーションの分析には向いていないということだ。

DFDの問題点

(この本もちゃんと読んでいないのだけど)「ユースケース導入ガイド―成功する要求収集テクニック」ではDFDには以下の問題があると指摘している。まあユースケースを推奨する本に書かれていることではあるのだけど。

  • DFDは技術者にとっては便利だが、ユーザを混乱させる傾向がある
    • システムとユーザーの責任の境界線があいまい
    • ユーザーが読みこなすのに十分な量以上の情報が含まれる

要求リストと同様に、DFDは要求分析者の道具箱から取り除くことをお勧めします。DFDは、この時点では必要ない多くの技術的要素を要求ダイアグラムに導入してしまう。DFDは、ユースケースや、UML(Unified Modeling Language)のクラス図、シーケンス図、ステートチャート図、アクティビティ図に置き換えることができます。
ユースケース導入ガイド―成功する要求収集テクニック

まあ実際にDFDを扱ったことのある人であれば、わりと同意できる内容だと思う。DFDはある種の問題に対しては有効な分析手法だが、一般的なソフトウェアの要件定義には極めて不向きなのである。しかしそれに気づくのは往々にして大量のDFDを書いた後なのだが。

現代的な要件定義ガイドのモデル成果物にはDFDは掲載されていない

無料で入手できる要件定義ガイドとしては、IPAが公開しているものがある(PDFがIPAのサイトからダウンロード可能である)
ユーザのための要件定義ガイド第2版

このガイドが取り扱っている要件定義ドキュメントの体系にもDFDが存在しないことを確認すべきである(なお正確には業務フローを表現する手法としては紹介されている)。
というわけで、現代の一般的なソフトウェア開発の要件定義においては、DFDを書くというのは悪手であると言えるだろう。

DFDを書くべきケースはあるのか?

冒頭で紹介した「ソフトウェア要求 第3版」では「トランザクション処理システムや他の機能集約型のアプリケーションに有効である」とあったので、ある種のシステムにおいてはDFDが有効な場合も存在する。自分の経験では、以下のようなシステムの検討においては有効だと考える。

  • ユーザーのユースケースがほとんど存在しない自動化システム
  • データウェアハウスに類する、ETLのようなデータパイプラインが主たる機能である

そんなシステムばっかりではないので、やっぱり基本的にはDFDは書かない前提にしたほうが良さそう

文化心理学、思考様式とソフトウェア設計について考える

以前に読んだ「教育心理学特論 (放送大学大学院教材)」が面白かったので、改めて心理学について学んでいる。あらためて基礎からというつもりで導入科目の「心理学概論 (放送大学教材)」の授業を受けているのだけれども、講義中「文化心理学」の紹介で紹介されていた思考様式の話が興味深かったので、調べたり考えたことについて記す。

心理学概論 (放送大学教材)

文化心理学とは

欧米を中心に発展した心理学は実際には研究対象の母集団が欧米の白人男性に集中しているという問題がある。これを問題と考えて提唱された文化心理学は、心理学の文化的側面(欧米とアジア圏などの文化差)に着目した心理学の研究分野である、というのがざっくりとした自分の理解である。

文化と視点、注意配分

心理学概論 (放送大学教材)」の授業で紹介されている文化と視点に関する研究成果が興味深かった。
おそらくこの論文が中心となっているもの。

欧米文化圏と東アジア文化圏の視点には明確な違いがあるということを、実験で確認していて興味深い。実験結果は省くとして、以下のような差異があるようだ。

  • 欧米文化圏
    • 世界観と認識法
      • 分析的世界観
      • 物事はそれ自体で定義される。だから世界を理解するためには、一つ一つの現象に内在する安定した性質を見極める必要がある
  • アジア文化
    • 世界観と認識法
      • 包括的世界観
      • 物事は常に変化し他の現象と複雑に結びついている。だから世界を理解するためには、そうした複雑な現象すべてに目を向ける必要がある
  • アジア文化圏の考え方はコンテクスト思考
  • 欧米文化圏の考え方はオブジェクト思考

おや、急に(ITエンジニアにとっては)なじみ深い話になってきたぞ……

自らの経験等から:ソフトウェア設計における欧米と日本の違い

この話を聞きながら思い出したのは、以前にビジネスモデリングの勉強会で聞いた次のような話である

  • 日本人が(ビジネス)クラス図やダイアグラムを書く時には、全体像と配置にものすごくこだわりがち
  • 欧米人はダイアグラムの全体像や配置にはかなり無頓着(読めればよい)

最近だとソフトウェア設計におけるダイアグラムを作成するツールとして、PlantUML とか mermaid など簡易なテキストで記述する方法がメジャーになりつつあるが、これらのツールのひっかかるところはオブジェクトの配置が自動的という点である。便利ということはわかるのだけれども、全体的な配置が気になってしまうのも、東アジア圏的発想なのかもしれない。

またヨーロッパ系のエンジニアと仕事をしたことも少しあるのだけれども、やっぱりダイアグラムは読めればいいや、という扱いだったような気がする。

当時はそんなものかと思っていたけれども、文化心理学の話を聞いた後で考えるともうちょっと根深いものだということがわかって興味深い。

日本文化とソフトウェア設計の関係性に関する研究もあるようだ

少し調べてみると、同志社大学の金田先生という方が言語論的アプローチで類似の研究を実施していて興味深い。

ただこれらの研究のベースは言語学的アプローチであり、文化心理学とは切り口は異なるようだ。

いろいろ考えたこと

  • ソフトウェアエンジニアの多くは、欧米文化圏の分析的世界観で形作られたツール(言語)や手法などを学び活用している事が多い。そうであれば文化心理学が提示する特性差の存在は認識しておいたほうがよさそう
  • 一方で学習と経験を通じてエンジニアは欧米文化圏の分析的世界観に染まっていくということもあるだろう
    • 上流工程で見られる、非エンジニアとエンジニアのコンフリクトの一部は、分析的世界観(エンジニア)vs 包括的世界観(非エンジニア、ユーザー等)の対立という側面もあるのではないか
  • ソフトウェア設計では、いかにして既存の包括的世界観から分析的世界観に(非エンジニア、ユーザー等を)移行させるかということも考えるべきという気がしてきた
    • 現在主流になりつつある様々なプラクティス(アジャイル開発に由来するものや、ドメイン駆動設計に由来するもの等)が意図せずこの壁を越えている可能性も感じる

金田先生の論文の結びで書いてあった以下の文章が興味深い。

本稿の基本的な問題意識は,欧米で開発されたモデリングツールが,母語(英語)が持っている認知言語的構造を反映している点である.結果として,洋と和の文化の中でアイデンティティを失っている日本外交の世界が,そのまま,情報システム屋の姿かも知れない.
では,どうしたら良いのだろうか.難問である. ただ,いくら母語の違いがあるからといって,欧米のテキストを否定してみても仕方がない.ただ,欧米のテキストには,母語に伴う「説明されていない部分」があるはずである.その事を無視して,「習うより慣れろ」的な,徒弟的教育方法だけで,モデリングを理解させることはできるのだろうか.我々は,「SE の育成は徒弟的関係」と思い過ぎていたのではないだろうか.

文化心理学をもうちょっと学びたい

以下の本が詳しいらしい(教科書に参考図書として掲載されている)
文化心理学〈上〉心がつくる文化、文化がつくる心 (心理学の世界 専門編) 文化心理学〈下〉心がつくる文化、文化がつくる心 (心理学の世界 専門編)

あと一般書ではあるがこの本も関係しているようだ
木を見る西洋人 森を見る東洋人思考の違いはいかにして生まれるか

うーん、ネットは広大だわ

パタヘネを読む2(第3章〜第4章) #デッドライン読書会

読むのがホネな(積みがちな)技術書やビジネス書を取り上げて2週間の読書期限を課して読んでアウトプットする仮想読書会「デッドライン読書会」の第43回。常時、けっこうな量の積読があるのだけれども、知り合いと読書期日を約束することによって消化が捗るという仕組み。ここ最近はこんな本を読んでいる。

さて、前回に引続き。通称パタヘネすなわち「コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 上」を読んでいく。1スプリントで2章ずつ読んでいく計画で、今回は2スプリント目である。
コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 上コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 下

パタヘネ第3章〜第4章を読んだ感想

  • うすうす気づいていたけれども、コンピュータは計算機械であることを改めて認識する章だった。難しい。
  • 4章を読みながらまず思い出していたのは、SF小説三体」に出てくる人列コンピュータである。仮想現実世界で複雑な計算を実施するために秦の始皇帝から三千万人の兵士を借り、それぞれに手旗を持たせて 1 辺 6 キロメートルの正方 形に並べ、巨大な人列コンピュータを作るという箇所があるのである(読んでいない人にはまったく意味がわからないと思うけど)。この部分を切り出した短編「円 劉慈欣短篇集」も出ている。
  • そういえばと思って調べてみたら、マインクラフトでCPU作っている人はぞろぞろいた。
  • こんな本もあった(未読)「CPUの創りかた
  • そういえばこれをやりたいと思っていたことを思い出した:NANDゲートを使って自力でイチから回路を組み立てる「NandGame」レビュー - GIGAZINE
  • と、本を読むのがちょっとツラかったので現実逃避することも多かったですが、ちゃんと目を通しはしました
  • そういえばSpectreやMeltdownの話を期待していたけど、あまり出てこなかったな(投機的実行の話は少しでていた)
  • 前回同様、各章の末尾の演習問題はスキップ。

次回

次の2週間は、第5章〜第6章を読む予定。

  • 5.容量と速度の両立:記憶階層の利用
    • メモリの話ですね。目次を見る限り仮想マシンとか仮想記憶の話も出てくるので面白そう
  • 6.クライアントからクラウドまでの並列プロセッサ
    • いちばん楽しみにしている章である。Google TPUも対象になっている。

2022年上半期に読んだ本まとめ

2022年1月~6月に読んだ本のまとめ。カウント対象は期間中に読み終わったものに限り、読みかけの本は対象外としている。あとコミック、漫画雑誌類もけっこう読んでいるのだけれども、これは除外。
この6カ月は69冊の本を読んだらしい(例年より2割増し程度)。自分はストレスが強いと本をたくさん読む傾向があるので、ストレスが高かったのかもしれない。読んだ本の中で良かったものをピックアップしてみる。

文芸書のおすすめ(一般編)

ふりかえってみると、一般ジャンル(つまりSF以外)の小説作品はあまり読んでいなかった。一方でノンフィックション作品はいろいろ読んでいて、その中でも「極夜行 (文春文庫)」が素晴らしかったと思う。心が動かされた。2018年の大佛次郎賞受賞作で、当時から気になったので「いつか読む」リストに放り込んでいたけど4年もたってしまった。登山家で作家の著者が「完全に人間界から隔絶された真っ暗闇の極夜」を目指すという狂気すら感じる作品である。メイド・イン・アビス的というか、もう、すごい。
極夜行 (文春文庫)

あとこれは画集というかイラスト集なのだけれども、今日マチ子さんのStayhomeシリーズは気に入っていて何度も見返している。
Distance わたしの#stayhome日記 Essential わたしの#stayhome日記2021-2022
すでに忘れつつある初期の頃のコロナ禍、そしてあまり記憶にないオリンピックなどの非日常な日々を思い出しつつ、この時代の特殊感をうまく封じ込めている作品集になっている。作品は基本的にInstagramで全て見れるのだけれども、書籍という形で眺めるほうが好き。

文芸書のおすすめ(趣味のSF編)

たくさん読んでた。ソフトウェアエンジニアのファンが多いニール・スティーヴンスンの「7人のイヴ」もやっと読んだし、大長編SFシリーズ「天冥の標」も最終巻まで読み切った。昨年のSF大賞受賞作「博物館惑星」シリーズも読んで、あと最近話題の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」も読んだ。以前から気になっていたカズオ・イシグロの「わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)」も読んだ。うーん、なにがおすすめだろうか(全部おすすめではある)。まあ、やっぱりこれか。
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
何を書いてもネタバレになるので中身については何も言えないのだけれども、中学2年生の娘にも読ませたら大変感動していた。そして理数系の勉強の重要性を再認識していた。作戦大成功である。

教養書のおすすめ

鉄板のマイケル・ルイス最悪の予感 パンデミックとの戦い」はもちろん面白かったが、実はまだ上巻した読んでいない「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)」がめっぽう面白かった。ずいぶん前にセールの時に電子積読していたのだけれども、こんなに面白いのであれば早く読むのだったと後悔した。非常に有名かつ面白い「銃・病原菌・鉄」に通じる面白さがある。
国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)
はやく下巻を読まなければ。

ビジネス書のおすすめ

この上半期は仕事上でいろいろな課題があって、そのため読んだビジネス書がけっこう多い。困ったらとりあえず図書館に言ったり本を買って読むタイプだ。
あえて1冊選ぶとしたら、有用性という観点では「NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版 (日本経済新聞出版)」が良かった。
NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版 (日本経済新聞出版)

マイクロソフトCEO、ナデラ氏絶賛。
世界60カ国以上、100万人超の人たちに読まれている「話し方」の教科書。

NVCさわりだけは知っていたような気がするが、改めて考え方を学ぶと得るものが多かった。本書を読んだ後、すこしは話し方を変えたし、衝突を減らすことができたような気がする。

関連してこちらも読んだらよかった。1on1入門は所属組織で勧められて読んだもの、フィードバック入門は1on1入門で紹介されているものだ。
ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法 フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)
この2冊については別の記事を書いているので興味があればどうぞ。

技術書のおすすめ

そういえばこの半年、アジャイル開発手法に関する本を読んでいない! まあ興味が離れているってことかもしれない。
いくつか読んだ中で、抽象度は高いが「チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計」の有用度が高かったと思う。
チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計
本書についての感想は別の記事を書いている。

この半期の振り返り

全般的には、本を読みすぎである。冊数が増えてしまう理由は

  • 強いストレスで、酒に溺れるかわりに本に溺れている
  • 図書館の予約図書の回転が早かった(常時予約枠マックスで予約をしているのだが、待ち行列により自分の借りる順番になるのはランダムである)。

というあたり。下半期は少し読書ペースは押さえて、別の事(旅行に行ったり、映画を見たり)をやろう。

なお、6月末にO’Reilly Learning platformのアクセス権が無くなった。
agnozingdays.hatenablog.com
技術書についてはサブスクで読んでいたものも多かったが、これが出来なくなるので技術書の読み方もまた変わってくるような気がする。

2022年上半期に読んだ本

  1. WIRED(ワイアード)VOL.43
  2. なんでも図解――絵心ゼロでもできる! 爆速アウトプット術
  3. アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)
  4. 1兆ドルコーチ――シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え
  5. 天冥の標Ⅸ ヒトであるヒトとないヒトと PART2 (ハヤカワ文庫JA)
  6. はりぼて王国年代記 【週刊だえん問答 第2集】
  7. 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
  8. Distance わたしの#stayhome日記
  9. リボルバー (幻冬舎単行本)
  10. Creative Selection Apple 創造を生む力
  11. Docs for Developers: An Engineer’s Field Guide to Technical Writing (English Edition) ⇒(★書評
  12. 恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす ⇒(★書評
  13. ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)
  14. ストレスのはなし メカニズムと対処法 (中公新書)
  15. まちカドかがく (ネコノス文庫)
  16. 武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
  17. はじめよう!システム設計 ~要件定義のその後に
  18. 科学哲学への招待 (ちくま学芸文庫)
  19. ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法 ⇒(★関連記事
  20. フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)
  21. 生きるとは、自分の物語をつくること(新潮文庫)
  22. 七人のイヴ 上 (ハヤカワ文庫SF)
  23. Building Successful Communities of Practice: Discover How Connecting People Makes Better Organisations (English Edition)
  24. 七人のイヴ 下 (ハヤカワ文庫SF)
  25. BRAIN DRIVEN ( ブレインドリブン ) パフォーマンスが高まる脳の状態とは BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは
  26. 天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)
  27. 天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART2 (ハヤカワ文庫JA)
  28. 天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)
  29. 無罪請負人 刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)
  30. 静寂とは
  31. More About Software Requirements: Thorny Issues and Practical Advice (Developer Best Practices) (English Edition) ⇒(★書評
  32. 不見【みず】の月 博物館惑星Ⅱ (ハヤカワ文庫JA)
  33. チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計 ⇒(★書評1★書評2
  34. 死なないように稼ぐ。 生き残るビジネスと人材 (ポプラ新書)
  35. 最悪の予感 パンデミックとの戦い
  36. 人生の短さについて 他2篇 (光文社古典新訳文庫)
  37. 「利他」とは何か (集英社新書)
  38. 歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ (ハヤカワ文庫JA)
  39. 問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術【DL特典付き(未収録原稿)】
  40. 書くことについて (角川新書)
  41. 文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
  42. 恋人たちはせーので光る
  43. ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)
  44. 宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃 (角川学芸出版単行本)
  45. INTEGRITY インテグリティ―正しく、美しい意思決定ができるリーダーの「自分軸」のつくり方
  46. ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)
  47. QJKJQ (講談社文庫)
  48. 勉強法 教養講座「情報分析とは何か」 (角川新書)
  49. Web世代が知らないエンタープライズシステム設計
  50. 未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
  51. 言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術
  52. プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
  53. プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
  54. 極夜行 (文春文庫)
  55. キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)
  56. 人間関係のレッスン (講談社現代新書)
  57. 最難関のリーダーシップ ― 変革をやり遂げる意志とスキル
  58. 転んでもいい主義のあゆみ 日本のプラグマティズム入門
  59. 冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)
  60. NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版 (日本経済新聞出版)
  61. 超入門 ストーリーでわかる「起業の科学」
  62. Essential わたしの#stayhome日記2021-2022
  63. わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
  64. セキュア・バイ・デザイン ⇒(★書評1★書評2★書評3
  65. 心理学的経営 個をあるがままに生かす
  66. バビロン1 ―女― (講談社タイガ)
  67. バビロン2 ―死― (講談社タイガ)
  68. 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)
  69. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織