吉羽さんの「大規模アジャイルフレームワークの紹介 | Ryuzee.com」という記事に興味深いリサーチに関する記述があったので調べてみた。Pendoの2019年の調査はいくつかの条件を考慮すれば正しそうだ、という話。
なお、こっちの話はダメという話は以前書いた
2019年にプロダクトマネジメント関連のSaaS企業であるPendoが行った調査によると、ソフトウェアプロダクトにおいて平均的な機能の利用状況は次のようになったそうです。
- まったく使わない: 24%
- ほとんど使わない: 56%
- よく使う: 8%
- いつも使う: 12%
つまり80%の機能はほとんど、もしくは、まったく使われないということになります。 たくさんの人を集めて、たくさんの機能を作るのは、ムダである可能性が高いと言えます。
大規模アジャイルフレームワークの紹介 | Ryuzee.com
Pendoの「The 2019 Feature Adoption Report」
上記情報の元ネタはおそらくこれ。
www.pendo.io
- 調査をしたのはアプリ分析SaaSを提供しているPend.io
- アプリ分析のPendoが日本進出、「プロダクト主導」のDX支援で20社導入目指す | 日経クロステック(xTECH)
- Pendo.io - 製品体験とデジタル導入のソリューション
- 最近話題になっている以下の本は、PendoのCEOが書いている。もしかすると、同書にもう少し詳しい事が書いてあるかもしれないが、未読である。
ざっくり読んだところ、以下の通りのようだ
- Pendoが保有している3か月分の匿名化データをもとに分析している。このデータには金融/銀行、HR、教育、輸送/物流、ヘルスコア、ECなどの業種が含まれている(比率などは明らかではない)
- 24%の機能は、まったく使わない(Never Used)
- 56%の機能は、ほとんど使わない(Rare)
- 「ほとんど」の定義は、全体の5%の使用率(Last 5% of Usage)
- 12%の機能は、いつも使う(Frequent)
- 「いつも」の定義は、全体の80%の使用率(Top 80% of Usage)
- 08%の機能は、よく使う(Moderate)
- 「よく」の定義は、81%~95%の使用率に収まる範囲(Next 15% of Usage)
なお、はっきりと明言されていなかったり触れられていない事としては、以下があると思う
- データは言うまでもなくPendoのユーザとなる。基本的にはコンシューマ向けのアプリケーションに限定されるであろう。エンタープライズ向けの基幹システム等が入っているわけはない
- おそらくだが、利用データは「Pendoを利用し始めたユーザー」に限定していると思われる
- はっきりと読み取れなかったのだが、「Pendoを1年間利用することによって、上記比率が大きく改善される」という報告になっているので裏を返せばPendoで利用率が最適化されたプロダクトは取り除かれていると考えるのが自然だろう
- 一定の信頼性はありそうだが、セールス向けマテリアルという点には留意する必要がある
- なお本レポートは同社のチーフデータサイエンティストが作成とされているので、あまりおかしな操作はされていないだろう
というわけで、参考にする場合はいろいろ注意が必要だとは思うが、非常に興味深いレポートである