いつか読もうと思っていた名著「ソフトウェア要求 第3版」をやっと通読し終わった。高価(定価が7000円超)なのがネックだけど要件定義のバイブルとしてはいい感じ。いろいろな論点があるのだけれども、要件定義の工数見積もりについての言及が興味深かったので類書の記述とあわせて整理してみるメモ。
セール情報をマメにチェックして、Kindle版を購入するのをお勧め。わたしは50%ポイント還元のタイミングで購入。ソフトウェア要求 第3版 における「要求の工数見積もり」
「ソフトウェア要求 第3版」では、第19章 要求開発に続くもの の中で要求の工数見積もりについて触れている。またサポートサイトからは見積もり計算用のスプレッドシートがダウンロード出来る。推奨される見積もりアプローチが3つ紹介されていて、その結果を比較して最終的な要求の工数を見積もるのが良いとされている。
Software Requirements, 3rd Edition | Microsoft Press Store
- プロジェクト全体作業見積もりの割合。プロジェクト全体の作業工数の15%を、要求の作業に割り当てる。選考する各種の調査を踏まえて筆者の会社(要求コンサルタント会社)ではこの比率を利用している。
- 開発者とビジネスアナリストの一般的な比率を想定して、ビジネスアナリストの人数を決める。デフォルトは開発者6名に対してアナリスト1名。パッケージソリューションであれば3対1。
- さまざまな要素数から成果物の数を推計し、ボトムアップで作業時間を積み上げて行う見積もり。
見積もり計算用のスプレッドシートも確認したが、非常にオーソドックスなものである。というわけで銀の弾丸もないし、地道に見積もるしか無いということだ。
マコネル ソフトウェア見積もりではどうだったか
見積もりのバイブルでもあるマコネルの「ソフトウェア見積もり」ではどう書かれていたかも確認しておこう。第21章 計画パラメータの見積もり では、開発するソフトウェアの規模(KLOC)ごとに、大まかな要求工数が目安として記載されている。ちょっと少なめな印象。- 1KLOC ・・・5%
- 25KLOC ・・・5%
- 125KLOC ・・・ 8%
- 500KLOC ・・・ 10%
同書では、要求工数のパーセンテージは他のアクティビティに比べて大きくばらつくから、あくまで目安であるという注記つきで提示されている。
ソフトウェアデータ白書ではどうか
- ソフトウェア開発データ白書2018-2019:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構(各種登録すれば無料でダウンロード可能)
ソフトウェアデータ白書を確認するとこんな感じである。
- 月数の比率 ・・・ 6工程(要件定義~総合テスト)の15% (225ページ)
- 工数の比率 ・・・ 6工程(要件定義~総合テスト)の8% (227ページ)
というわけで、このあたりを目安に自分で考えるしかないということだ。