勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

システムの「完成した機能の64%は使われない」という話はあまり正しくない

主にアジャイル界隈で目にするスライドの一つが「完成した機能の64%は使われない」である。これはXP2002カンファレンスでStandish Group会長のJim Johnsonが発表した内容に含まれていたという。

しかし、この情報はどれほど正しいのだろうか。

というわけで調べてみたら、あっさりと正解にたどり着いた。
www.mountaingoatsoftware.com

なんと、アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~著者のマイク・コーンがStandish Groupを凸して真相を突き止めているのである。強い。強すぎる。
詳細は上記記事を見ていただくとして実際のところは
「このデータはソフトウェア『プロダクト』ではなく社内利用向けの4つのシステムを分析したものにすぎない」
というのが真相である。別にエンタープライズソフトウェア全般を分析して出した平均値などではないのだ。

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

もちろん、「そんなの無くて良いでしょ、というような思いつきの機能要求」とか「とりあえず途中まで作ってみてから考え直しませんか。たぶんいらんからその機能」みたいな話は往々にして存在する。開発者としては、役に立つ、良いソフトウェアを作りたいという気持ちも強い。それはわかるが、由来のよくわからないデータを持ち出して「一般的に完成した機能の64%は使われないんですよ」と脅すのは、フェアではないなぁと思ったのであった。


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