勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

計算者、計算手、コンピューター

計算者、計算手、コンピューターはどれも同じ意味である。飯のタネにしている電子計算機の祖先について最近いろいろ興味を持っている。

計算手 - Wikipedia
計算手(けいさんしゅ、英:computer, human computer)とは、電子計算機が実用化される以前の時代において、研究機関や企業などで数学的な計算を担当していた人間のことである。現在では「コンピュータ」と言えば電子計算機を指すが、当時は "computer" という語の成り立ちが表す通り「計算する人間」のことであった。

興味をもったきっかけは、SF小説「宇宙へ」

宇宙【そら】へ 上 (ハヤカワ文庫SF) 宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)

この小説は歴史改変モノSF小説として超オススメなのだけれども、計算者が大活躍するという意味で勉強にもなる。主人公がまさに「計算者」である。

天文学とロケット工学の分野でおおいに貢献した彼女たちは、これらに関する計算を、鉛筆と計算尺を用い、手計算で行なっていた。計算機がものになるずっと前からだ。計算機なくして、人類は月にいくことができただろうか? 現実世界で計算機が実用になる以前、これらの計算はもっぱら女性たちが行なっていた。計算機のほうが、たしかに計算速度は速かった──使いものになるようになってからは。しかし、計算機には数式を組むことができなかった。宇宙時代の黎明期において、数式は人の手で書かれていたのである。
宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)  「歴史ノート」より

計算尺は親父は使っていたが、自分は触ったこともない。

「Hidden Figures」

次はこの映画である。邦訳タイトルがイマイチすぎるが、見てよかった。エンジニア必見映画ではなかろうか。またもや主人公は計算者。
ドリーム (字幕版)

なおサイドストーリーとしてIBMFORTRANの話も出てきてこっちも興味深かった。

「FOR ALL MANKIND」

そして現在視聴中のこのドラマも素晴らしいのである。こちらは群像劇だが、女性計算者も主要な登場人物として出てくる。
tv.apple.com

さらに勉強予定

計算手に関する関連書籍は「宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)」のあとがきが詳しく、ここで紹介されている書籍はぜひ読んでみたい。

『ドリーム』をすでに見た人も、この映画の原作はぜひ買って読んでほしい。女性の計算者たちがじっさいに行なっていたことが、気が遠くなるほど詳細に書いてあるから。同様に、『ロケットガールの誕生』では、黎明期からこちらのジェット推進研究所において、女性がどのようにかかわっていたかが描かれている。計算部門に男性を採用しないという方針はほんとうにあったのだ。
宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)  「歴史ノート」より