勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

ITエンジニアの業務時間外の学習

時間外学習に関するブログ記事をタイムラインで目にして考えたこと。ちなみに業務時間外に学習するかどうかは趣味の問題だと思っている。

業務時間外の勉強が必須なんてことはない

IT業界は技術の流れに置いていかれるとしんどい思いをする。業務時間外の勉強は必須だ。しかし、おかしな話ではないだろうか。なんで時間外に仕事のための技術を勉強しなければならないのだろうか。

本来であれば、業務に必要なことは業務時間内で教えるべきだと思う。だが、今時そんな余裕のある会社なんて無い。やって当然という雰囲気はあるが、やるだけの理由を説明できる人は少ない。大半が「仕事に必要だからやるんだよ!」としか言わない。

  • 業務時間外の勉強が必須なんてことはない。キャッチアップに必要な時間すら与えられないのであれば、それはその職場や上司の別の問題だ。
  • 業務時間内の勉強が(明示的に)禁止されている、なんてことはない。勉強をする方法はいろいろある。工夫して業務時間内に学習すればいいのではないだろうか。
  • ただし昨今は報酬が能力評価で決定される事も多い。業務時間外で自己投資にまわせる時間や資金があれば、それを学習に充てることで報酬を上げるチャンスを得られるかもしれない。この自己啓発の観点を混ぜてしまうと、話が複雑になってしまう。

ちなみに自分は若手時代に「業務時間内に学習することに肯定的なチーム」に入ることができたので、そこで学習を楽しむ姿勢が身についた気がする。学習を楽しむ姿勢を得ることができれば、いろいろとラクが出来るようになる。そのあたりの事は以前に書いた。

なお学習姿勢の有無は他者との大きな差別化要素である。継続学習を行う力はビジネスパーソンの2割以下しか持っていないという調査もある。自己啓発とキャリアアップの観点で頭一つ飛びぬけるために「学習する」というのは効果的な方法なのだ。詳細は以下の記事を参照。

プロフェッショナルを名乗るなら自己研鑽は必要

ここまでは若手向けの話題だけれど、中堅以上になるとプロフェッショナルとして自己研鑽の姿勢は必須となる。日本ではあまり定着していないけれども、医師に医療の倫理規定があるように、技術者にも技術者の倫理規定があり自己研鑽はプロフェッショナルとしての必須要件となっている。

6 自己研鑽を行い、技術力の向上に励む。
6-1 常に自己研鑽に励み、必要な専門能力の向上、及び最新の知識獲得に努める。
6-2 自身の業務成果について積極的に社会に対して発信し、後進の育成にも協力する。
認定情報技術者 倫理要綱・行動規範-CITP認定情報技術者

(継続研鑚)
10.技術士は、常に専門技術の力量並びに技術と社会が接する領域の知識を高めるとともに、人材育成に努める
技術士倫理綱領|公益社団法人 日本技術士会

原則8 自己の向上
ソフトウェア・エンジニアは自己の専門職実務に関する生涯続く学習に参加し,かつその専門職実務に対する倫理的アプローチを推し進めるべきである。特に,ソフトウェア・エンジニアは,その職に就く者としてふさわしく,以下のように行動すべきである(以下省略)
http://seeri.etsu.edu/Codes/Official%20Japaneese%20Translation.htm

この段階で必要とされる学習はむしろ業務時間外だけでは不足だ。またライフステージが上がり、若いときと同じように学習時間を割り当てることは難しいかもしれない。

  • 業務自体に自己の学習を組み込む(業務の中で研究する)
  • 仕事としてカンファレンスなどに出席する
  • 業務として各種のコミュニティ活動に参加する

などの工夫が求められるので、生ぬるい事は言いにくくなってくるはずだと思う。

参考図書

新人さん、若手さんにお勧め。自分も若手のときに非常に影響を受けた。中堅向け。継続学習が必要なことがよくわかる。あの会社はどう考えているのかを参考に。