勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

「ゾンビスクラムサバイバルガイド」読んだ飼育係の日記

Zombie Scrum Survival Guide (The Professional Scrum Series) (English Edition)」という本を発見したので読んだ感想。良い本でした。

2022/9 追記:翻訳本が発売されるようです

ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道
表紙が興味深い

ゾンビスクラムサバイバルガイド!

さて、本書は著者たちの言う「ゾンビスクラム」への対策ガイドである。アメリカ人は本当にゾンビが好きだなぁ・・・
本書は架空の組織ゾンビスクラムレジスタンスが発行するサバイバルガイドという設定である。

ゾンビスクラムとは一言で言うと

「ゾンビスクラム」の世界へようこそ。これは、人々が実際のスクラムを模倣しながら、生きたり従事したりすることなく、単に動きを経験しているという悲痛な状態です。

という感じで、つまり

状態である。ヤバイ、見たことがあるぞ!

というわけで本書はイカす比喩を交えながら

  • Part.1 ゾンビスクラムの概論
  • Part.2 ステークホルダーのニーズにこたえる
  • Part.3 素早く出荷する
  • Part.4 継続的に改善する
  • Part.5 自己組織化

という形で、各章で「症状に対する分析」と「対策案」を説明するという形式で書かれた本である。
対策案が具体的なので「うまくいっていないスクラム対策」本としてけっこう使えそうな印象。

腕が落ちても文句を言わないゾンビのように、ゾンビスクラムチームは失敗したスプリント、または成功したスプリントに対しても応答を示しません。

方向感覚なしでつまずくゾンビのように、多くのゾンビスクラムチームは特にどこにも行かないように一生懸命働いています。

でも、そんなことを言ったら日本のアジャイル開発の現場は……

本書で語られるゾンビスクラムの特徴をだいぶ雑にまとめると「形骸化したスクラム」になるだろう。これは日本のSIer的文脈を考えると極めて発生しやすいとも言える。バズワードとしてのDXを追い風にゾンビスクラムが蔓延する終末的な世界がたやすく想起されるのは考えすぎだろうか。ゾンビランド

特に日本人的な気質としてテクニックに走りがちであること、加えて近年「トップダウンで変革を加速させよう」とする風潮が状況悪化に拍車をかけそうな予感を感じる。

本書で例えに使われている『「鼓動する心臓」にあたるものが欠けている』という状況は非常に的確で、核心なんだろう。外部からスクラムマスターを雇っている場合じゃないんだろうなぁ。

その他気になったこと