読書メモ。「Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか」を読んだ。リアルプロジェクトの進め方として興味深い本である。Googleにおける仕事の仕方がかいま見える点も面白いんだけれども、書いた人が「オープンソースソフトウェアの育て方」の筆者と同じSubversionプロジェクト出身という点に興味を引かれる。
- O'Reilly Japan - Team Geek でPDF版も購入できる。私はこちらを買った。mobi版が無いのが無念。
リアルプロジェクトの進め方としての「Team Geek」
本書を自分は「リアルプロジェクトの進め方」に関する本として読んだ。
- バーチャルに対する「リアル」というイメージである。本書に書かれている働き方は、対面でのコミュニケーションを重視している。
- 原則として(タイトルにある通り)「チーム活動」に関する本だ。
本書の基本的な考えは単純である。ソフトウェア開発はチームスポーツであり、技術的要因と同じだけ人的要因が影響するというものだ。何十年もかけてプログラミングの技術面を学んだとしても、人間的要因を学んでいない人がほとんどだ。成功するにはコラボレーションについて学ぶことも必要である。ソフトウェアエンジニアリングの「ソフトスキル」に投資すれば、同じだけの努力でより大きな効果が得られるだろう。
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか はじめに、より
なお、書かれていることは「かなりふつう」である。ひょっとしたら定番ビジネス書の「人を動かす」あたりを読んだほうがいいのかもしれない。しかし(他人は違うのかもしれないのだけれども)「人を動かす」を読むのは私にとっては大変に苦痛なのである。実は持っているのだけれども何度も挫折している。Geek風のしゃれたエッセイで読めることは重要である。なにより(エンジニア向けの)引用やらジャーゴンでいっぱい、というのがいい。
(電子書籍で買ったから実感は無いけど)薄い本なので、割とすぐに読み終わる。面白いエッセイを読むつもりで気軽に手に取るのが良いと思う。
バーチャルプロジェクトの進め方としての「オープンソース・プロジェクトの育て方」
冒頭にも書いたのだけれども「Team Geek」の筆者はSubversionプロジェクトの出身者である。そして、同じSubversionプロジェクトの出身者よって書かれた「オープンソースソフトウェアの育て方」という本も興味深い。こちらは「バーチャルプロジェクトの進め方」に関する本である(と思っている)。
『Team Geek』の4.3.1と4.4.6で出てくるエピソード。実は『オープンソースソフトウェアの育て方』でも話題になっていて、『Team Geek』共著者の1人が実際に送ったメールも掲載されています。興味のある方はこちらもぜひ。 http://t.co/yqk3lKeAii
— TAKAGI Masahiro (@takagi) August 1, 2013
- 詳しい感想は以前に書いた。→「オープンソースソフトウェアの育て方」を開発マネジメントの本として読む - 勘と経験と読経
- こちらは「Team Geek」よりは少しリーダー向けの内容。しかし、同じプロジェクト出身者だなぁと思われるくらい二つの書籍は響き合っている(気がする)。あわせて読むと読むの面白い。こちらの本はツールの話も多いので、そこは興味が無ければ飛ばせば良い。
- 類書だと「アート・オブ・コミュニティ ―「貢献したい気持ち」を繋げて成果を導くには (THEORY/IN/PRACTICE)」という本もあるけれども、こちらは「コミュニティをどう盛り上げて導いていくか」に関するものというイメージ。直接的にお仕事に活用するのは割と難しそう。ちなみにこちらはUbuntu出身の人が書いている。
参考
- 書籍購入時に参考にした「Team Geek」の感想など
- Subversionプロジェクトについて調べていて掘り出したもの
- ふたつの書籍を生み出したSubversionプロジェクトが気になるので、技術ではなくて人間的な側面でこのプロジェクトについての文章などが無いかいろいろ調べてみたのだけれども、残念ながらこれというものは見つけられなかった(もちろんSubversionプロジェクトの膨大なログを見ることは可能なのだけれども、さすがにそこまでする気にはなれない)。
- Subversion についての悪い噂を晴らす
- http://www.red-bean.com/kfogel/beautiful-code/bc-chapter-02.ja.pdf
- 「オープンソース・プロジェクトの育て方」著者のBeauliful Codeへの寄稿記事「Subversion の差分エディタ:存在論としてのインタフェース」(の訳)。面白いけど難しい