勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

アジャイル開発に求められる人材像に関する雑感

前回のエントリの反応を眺めながら、そういえば「プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと」でこんな事が書かれていたのを思い出した。

アジャイル開発チームのための技術者を雇うとき、どんな素質が必要だと思いますか? それは幼稚園でうまくやっていくスキルと同じです。

  • ほかの人とうまくやっていけるか?
  • みんなと仲良く遊べるか?
  • 遊ぶのをやめるとき、きちんと後片付けができるか?
  • 新しいことにワクワクするか?
  • 学ぶことが好きか?

プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと 

(あとこちらも参考に。プロジェクト現場の幼稚園化:An Agile Way:オルタナティブ・ブログ

または、「アジャイルサムライ−達人開発者への道−」ではこんな記述もある。

いつの日にか、誰もがこんな働き方をするようになるだろうか? まさか。みんながみんな、食べ過ぎをやめて運動してるわけじゃないのと同じだ。警告しておくと「お客さんに価値ある成果を毎週届ける」というのは、気弱な人にはおすすめできない。たとえるなら、アジャイルに開発するというのは、これまで経験したことのないほど強烈なスポットライトを浴びてるみたいな感覚だ。もはや隠れる場所はない。価値を生み出すか、生み出さないか。二つに一つだ。
アジャイルサムライ−達人開発者への道−

これまでの就職や就社では「賢い」ということが重視されてきたのだと考えているのだけど、これからは「賢いプラスアルファ」が必要ということなのだろうか。じゃあ、アルファの部分に入るのは何なのだろうか。

  • コミュニティ適応性?
    • 「協調性」というキーワードだとしっくりこない。
  • チャレンジ精神?
  • 情熱?

社会人基礎力

上記を考えながらネットを眺めていて知ったのだけれども、経済産業省では2006年から「社会人基礎力」というのを提唱しているようだ。

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年から提唱しています。企業や若者を取り巻く環境変化により、「基礎学力」「専門知識」に加え、それらをうまく活用していくための「社会人基礎力」を意識的に育成していくことが今まで以上に重要となってきています。
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.htm

これはソフトウェア開発に限った話題ではないのだけれども、やはり世の中的にも人材に求められる事が変ってきたということなのだろうと思う。それどころか、従来の「賢さ」に加えてさらに様々なものが追加で求められるようになった、ハードルが上がったとも言えるのではないだろうか。

しかし「コミュニティ適応性」でも「情熱」でも「社会人基礎力」でも、何かのトレーニングで簡単に獲得できるようなものではないのが気になるところ。このところ大手サプライヤーでも人材転換の話題が出ているが、これで自社人材に簡単にプラスアルファの力がつくとは思えない。ハードルを上げてふるい落とすといった方向となってしまうのではないだろうか。

追記(2012/4/23)

ブログでコメントいただきました。