読むのがホネな(積みがちな)技術書やビジネス書を取り上げて2週間の読書期限を課して読んでアウトプットする仮想読書会「デッドライン読書会」の第44回。常時、けっこうな量の積読があるのだけれども、知り合いと読書期日を約束することによって消化が捗るという仕組み。ここ最近はこんな本を読んでいる。
- #43 パタヘネを読む2(第3章〜第4章) #デッドライン読書会 - 勘と経験と読経
- #42 パタヘネを読む(第1章〜第2章) #デッドライン読書会 - 勘と経験と読経
- #41 「セキュア・バイ・デザイン」を読んだ(3) #デッドライン読書会 - 勘と経験と読経
- #40 「セキュア・バイ・デザイン」を読んでいる(2) #デッドライン読書会 - 勘と経験と読経
- #39 「セキュア・バイ・デザイン」を読んでいる(1) #デッドライン読書会 - 勘と経験と読経
さて、前回、前々回に引続き。通称パタヘネすなわち「コンピュータの構成と設計 MIPS Edition 第6版 上」を読んでいく。1スプリントで2章ずつ読んでいく計画で、今回は3スプリント目である。
パタヘネ第5章〜第6章を読んだ感想
超難しい。読んでいるというより「目を通している」という感覚。
前回、前々回同様、各章の末尾の演習問題はスキップ。
hak & tomzoh - YouTubeで復習したい。
5章 容量と速度の両立:記憶階層の利用
- 基本的にはメモリの話。改めてコンピュータに関するメモリの話を総合して見てみると、様々なレベルの抽象化によってコンピュータの性能が確保されているというのがよくわかる。
- 具体的にはキャッシュ、仮想記憶、そして仮想マシン。
- いわゆるオープン系アーキテクチャにおけるVMのサポートはまだ発展途上というのは、あまり意識していなかったので興味深い話だった。
残念ながら、デスクトップおよびPCをベースにしたサーバーのアプリケーションでVMが検討されるようになったのは、ごく最近のことである。そのため、デスクトップやサーバーの命令セットは、仮想化をほとんど考慮に入れずに開発された。x86アーキテクチャに加え、ARMv7やMIPSなどのRISCアーキテクチャも、例外ではない。
(中略)
1970年代のIBMメインフレームやVMMと同じくらい21世紀の仮想マシンが効率的になるためには、どのくらいの期間がかかるだろうか。いずれも興味深い点である。
(5.6 仮想マシン より)
6章 クライアントからクラウドまでの並列プロセッサ
- 出だしからロマンチックな章!
コンピュータ・アーキテクトはコンピュータ設計上の見果てぬ夢、黄金郷(エルドラド)を長く追い求めてきた。それは、既存の小型コンピュータを多数接続するだけで、強力なコンピュータを実現するという発想である。
(6.1 はじめに より)
- ベクトル・アーキテクチャといえば雑な知識ではスパコン「地球シミュレータ」だけれども、詳細な仕組みはよく理解できていなかった。なるほどという感じ。
- やはり終盤のドメイン固有アーキテクチャ(Google TPU)やウェアハウス・スケール・コンピュータへの展開は熱い。Google TPUの話は経緯も含めてだいぶ勉強になった。
Mooreの法則の鈍化、Dennardのスケーリング則の終了、Amdahlの法則に基づくマルチコア性能の実際的な限界が相まって、性能およびエネルギー効率を改善するのに残された道はドメイン固有アーキテクチャ(DSA)しかないという考えに、業界の主流は傾いた。
(6.7 ドメイン固有アーキデキチャ より)
このように極端に大規模なWSC(ウェアハウス・スケール・コンピュータ)は、1970年代のスーパーコンピュータの原題の子孫である。したがって、Seymour Crayは今日のWSCのアーキテクトの父と言えるだろう。
(6.8 クラスタ、ウェアハウス・スケール・コンピュータおよびその他のメッセージ交換型マルチプロセッサ より)
- この章を読むと、FPGAの勉強も必要という気がちょっとだけしてくる(本章ではPFGAはほとんど扱われていないが、次のスプリントで読む付録B章で扱われているようだ!)