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心理的安全性のその先へ行くための本「失敗できる組織」を読んだ

読むのがホネな技術書やビジネス書を取り上げて2週間の読書期限を課して読んでアウトプットする仮想読書会「デッドライン読書会」の第89回。同僚と読書期限を約束することによって積読が確実に減るという仕組み。過去記事はこちら

今回とりあげるのは「失敗できる組織」だ。著者のエドモンドソンは心理的安全性に関する有名な書籍「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」の著者であり、本書はその続編と言っても良いだろう。でも、あまり話題になっていないような・・・

日本の「失敗学」とは異なるアプローチの「失敗できる組織」

ビジネス上の失敗を扱う議論としては先行するものとして日本の「失敗学」がある(残念ながら本書では言及されていない)。まず、両者の違いについて整理しておくと良いだろう。

  • 失敗から学べ、というゴールは一緒
  • 失敗学は工学的な考え方が中心であり、エドモンドソンの「失敗できる組織」は心理学・組織行動学がベースとなっている。
    • つまり、エドモンドソンの「失敗できる組織」の方が射程は長い。組織戦略までを含んでいると言える
  • 失敗学は、報告された失敗を最大限活用することに強く着目しいている
  • エドモンドソンの「失敗できる組織」は、失敗を恐れない文化の醸成に強く着目している

心理的安全性のその先へ

前著で説明された心理的安全性は重要ではあるものの、重要なのはその先にあるチームとしての学習である。これを促進するために、失敗に向き合う必要がある。これが本書の骨子である。
そして、心理的安全性が確保されていてもまだ、失敗から学ぶためには考慮すべき点(心理的な阻害要因など)があるとして、この点について説明されているところが興味深い。

  • 失敗について「忌避」「混乱」「恐怖」する傾向がわれわれには存在する。これが失敗からの学習を妨げる。
    • 畑村先生の失敗学では日本人の特性として失敗を恥とする文化を挙げていたと思うが、本書では似て非なる整理がされている
  • 本書は心理学的な観点から書かれており、各課題についての対策もちゃんと考察されていて参考になる(と言ってもリフレーミングなど、ではあるが)

心理的安全性はネーミングも含めて、いろいろな議論の尽きないテーマだった。その先の目標として、本書が言うような「失敗できる組織」が実現するできているのか。これは心理的安全性よりもわかりやすく、良い整理の仕方だと思う。

失敗の分類がよかった

本書ではさまざまな形で失敗を分類している。世の中にはいろいろな整理の仕方があるようだが、本書の整理は明解で、考えるきっかけとして良いものだと感じている。

  • 失敗:望んでいた成果から逸脱した結果
  • ミス:=過失。あらかじめ指定された基準(手順、ルール、方針など)から意図せずに逸脱すること
  • 違反:個人が意図的にルールを逸脱すること
  • 失敗の基本形
    • 賢い失敗:進歩に欠かすことのできない「良い失敗」
    • 基本的失敗:誤りやしくじりが原因で起こるもの
    • 複雑な失敗:複数の原因があり、不確実性が加わるもの

本書の前半ではこれらの分類についての説明が、豊富な事例として語られている。失敗好き(?)にはたまらない

そして名言の宝庫

というわけでなかなかに興味深い本なのだが、もう一つの注目点は本書が「失敗に関する名言」の宝庫ということだ。エピグラフをはじめとして、良い言葉がたくさん紹介されている。

個人的に好きなのはこれ。

「打たないシュートは100%入らない」(アイスホッケーのスーパースター、ウエイン・グレツキー)
失敗できる組織 第一章「正しい失敗」を求めて