勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

エンジニア目線で「記者ハンドブック(第14版)」をチェック

SNSのタイムラインで「記者ハンドブック 第14版 新聞用字用語集」が話題だったので手に取ってみたら非常に良かった。現代では短文で明確なコミュニケーションをすることの重要性が高まっている。校正ツールに頼れば良いという考え方もあるだろうが、理屈を知ることは重要だと思ったというお話。

  • Kindle版もあるが、本書については物理紙版を購入
  • 時々品切れとなって中古がプレミア価格になるが、少し待てば増版されるようなので値段には注意を

短く的確な文章を書くことの重要性が上がっている

在宅勤務や、在宅オフィスハイブリッドの働き方が定着し、非同期型の仕事の仕方の重要性は上がっている。「DXジャーニー」ではコミュニケーションのデジタライズとか、ミーティングのアンバンドル化などと表現されているものだ。会議とチャットと同時編集可能なツールで効率よくメッセージングしながら文書作成することが求められている。

そこで何が大事かというと、チャットで短く的確な文章を書いてコミュニケーションができることだと思っている。言葉のラリーが必要ならメールで良いのだ。短く鋭い言葉でスマッシュをかませたい。

メソドロジーというか考え方自体はいろいろな書籍が出ている。
例えば最近だと「言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術」は面白かった。
言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術

まずは「相手は自分の文章を読みたくない」という前提に立ちましょう。
言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術

同感。

ただ、この種の文章本を読んで考え方をいくら学んでも、日常の文章が格段に良くなったという実感がない。どうすれば……というところで「記者ハンドブック(第14版)」を知ったのだった。

「記者ハンドブック(第14版)」について

きっかけはSNSのタイムラインでフォローしている知人が購入したことなのだけれども、調べるとなかなかに興味深い。

というわけで購入したら、確かに便利なのである。もっと早くに出会いたかった……

「記者ハンドブック(第14版)」の良いと思うところ

  • 文章の理屈だけが限界までコンパクトに書かれていて、わかりやすい
    • 例えば「記事の書き方、考え方」は見開き2ページにまとまっているし、「漢字とひらがなの書き分け」も4ページだけでわかる
  • メインコンテンツの「用字用語集」は辞書とは違い、用語の使い分けに特化している。余計なことは書かれておらず、注意点が中心なので使いやすい
    • 例えばWindowsに付属している日本語IMEでもある程度の用語説明は含まれているのだけれども、いちばん知りたいベーシックな単語には説明が無かったりするので便利だ
    • たとえば「とき」と「時」、「こと」と「事」の使い分けなど
    • 課金してATOKを導入すれば解決するという噂もあるけれど、社用だと導入しにくいのよね
  • 「記事の見出しのつけ方」は、メールや文章タイトルにも活用できそう
  • 「数字の書き方」もだいぶ勉強になった
  • 各種の校正ツールの指摘の確認に使える。今どき、様々な校正ツールが存在している(身の回りだと、ShodoVS Codeの拡張など)が、指摘の理屈がわからなくて修正すべきかどうか迷うことがあるのだ
  • 新聞記事と同一ルールであるという安心感

「言葉に迷ったらこの1冊だね」ーー落語家 立川志の輔
記者ハンドブック 第14版 新聞用字用語集 オビより

というわけで、だいぶ気に入ったので手元でよく引く本となっている。