「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」で紹介されていたHBRの「Strategies for Learning from Failure」だが、オライリーのサブスクでアクセス可能だったので読んでみたという話。
失敗のリフレーミングは、失敗のタイプによる基本的な分類を理解することから始まる。詳細は私の他書に委ねるが、失敗の典型は、回避可能な失敗(絶対に、よい知らせではない)、複雑な失敗(やはり、よい知らせではない)、そして賢い失敗(楽しくはないが、高い価値をもたらすので、よい知らせと考えられるべき失敗)である。
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす、第7章 実現させる
論文「Strategies for Learning from Failure」 の全体像
- 2011年にHBRに発表された論文である。著者は「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」や「チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ」で知られるエイミー・C・エドモンドソン
- 論文自体は非常に短い、というか一般的なHBRの論文という感じ。
- 多くの内容は「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」に引き継がれている。ただ同書は「心理的安全性」中心で書かれているのに対し、本論文は「失敗」を中心に書かれているというのが大きな違いだろう。
Strategies for Learning from Failure の抜き書きメモ
The Blame Game
まず著者は、失敗と過失には境界が無いことを示す。失敗の理由のスペクトルを例示し、どこからが非難すべきものかは明確にすることはできないという。これをリーダーは理解し、その上で失敗/過失は3つのカテゴリーに分類できることを理解しなければならない。それは以下の3つである。
- 回避可能な失敗(防止できる日常的または予測可能な操作の失敗)
- 複雑な失敗(複雑な操作をしている人には避けがたいが、大惨事を起こさないように管理することが可能)
- 賢い失敗(知識を生み出すための研究環境での望ましい結果)
その上で、The Blame Gameを回避し、失敗から学ぶ必要がある。
カテゴリー別の失敗への対応
賢い失敗
- 適切な規模で実験する
学習文化の構築
ここは、いわゆる心理的安全性の話なので、「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」を読んでいるなら飛ばしてもよかろう
失敗の検出
失敗を隠さず報告してもらうにはどうすればよいか。これも「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」を読んでいるなら飛ばしてもよかろう
失敗の分析
心理的な抵抗を乗り越えて向き合うためにはどうすればいいか。これも「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」のほうが詳しい。
実験の推進
体系的な実験を通じて、適切な場所で適切なタイミングで失敗を戦略的に生み出すにはどうすればいいか。「成功する失敗の設計」をどうやるか
参考
- 「チーミング」の実践こそイノベーションの源泉である エイミー C. エドモンドソン ハーバード・ビジネス・スクール 教授 | [論文セレクション]注目著者(1/1)|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー HBR会員だったら日本語で翻訳論文が読めるようです(未検証)