勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

美意識、オッサン、イノベーション・スキルセット

最近読んだいくつかの本が似たような論点について触れていたので面白かったという話。やはりこれからの時代、教養そしてアート/デザインに関するスキルの重要性は高まっていくようだ。個人的にはどうしたものか思案中。

アート/デザインの重要性が高まっていく

今年の後半に読んだ以下の本がいずれもアート/デザイン領域のスキル重要性について語っていて面白かった。この半年にピックアップしたのはかなり偶然である。これがセレンディピティというやつか......

イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き

イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き

  • 作者:田川欣哉
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2019/08/24
  • メディア: Kindle

新書の2冊は(筆者が同じなのだけれども)

  • アート
  • サイエンス(あるいは論理)
  • クラフト(あるいは技術)

が大切であり、かつこれまで特に日本ではアートが軽視されてきたという事がテーマとして主張されている。
(ちなみにオッサン本では、2018年時点で五十代・六十代となっているオッサンたちは特にアートとサイエンスが抜け落ちてダメだという本)

現在のように変化の早い世界においては、ルールの整備はシステムの変化に引きずられる形で、後追いでなされることになります。そのような世界において、クオリティの高い意思決定を継続的にするためには、明文化されたルールや法律だけを拠り所にするのではなく、 内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」が求められることになります。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)

そして「イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き」では、

の三分野(つまり頭文字を取ってBTC)に関するリテラシーを身につけなければ、これからのプロダクトデザインはできないという事が書かれている。超同意。

その意味で、デザインはテクノロジーやビジネスの大切な伴走者なのです。もはやデザインは特別なものではなく、デザインなしでは成功できない時代が到来しました。ですから、ビジネスパーソンやエンジニアが、このデザインというものの中身を知り、活用することはとても重要なことなのです。
イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き

もちろん、それぞれの本で異なる主張もあるけれども、大いに興味が湧いたという次第である。

エンジニア中心キャリアからアートを学ぶにはどうしたらよいか

さて、自分は理系出身でエンジニア中心キャリアを歩んでいるので、現時点では足りていないのはアートやクリエイティブの分野である。というわけで文系科目の学習意欲がムクムクと首をもたげているのだけれど、実際のところは

  • 家庭的な都合も含めて、大学に本格的に入り直すとか社会人大学院に行くのは現時点の選択肢にはならない
  • 独学で習得する心がけはもともとあるけれど、ちょっとしんどい(例えば「哲学」とか無理)
  • お金はそれなりにかかってもいいけれど、ものすごい投資はできない

という状況でもある。

イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引きではエンジニアキャリアがデザインキャリアのリテラシーをつけるためにはまずプロトタイピングスキルを身につけて、プロのデザイナーと協業していくのが良いと書かれているのだけれども、Takramに所属していればそうできるかもしれないが、なかなか難しいだろう。

というわけで現時点ではコストパフォーマンスも踏まえて、今のところは春から放送大学に入学することを真面目に検討している。他のMOOCS系は理学と工学中心でパッとしないんですよねぇ。

年明けまで悩む予定だが、何かアクションを起こしたらまたブログ記事としてアップしたい。