未消化の積読技術書をデッドラインを決めて読んで感想をブログに書く企画(ざっくり)の第2回。
前回記事はこちら
ルールはこのあたり
というわけで、Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方の後半戦を読みきった感想也。
Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方
- 作者: Jennifer Davis,Ryn Daniels,吉羽龍太郎,長尾高弘
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2018/03/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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DevOpsは日本に定着するのか?
感想なのにのっけからこのような書出しになってしまうのだけれども、本書の後半の主要なメッセージは「DevOpsは文化である」だと理解している。そして文化である以上、この文化を広げていくためには知識やツールなどのノウハウだけでなく、
- ストーリーの共有
- カンファレンスやコミュニティ、ミートアップを通じた情報共有
などが重要である、とある。
これを読んで、ううむ、と唸ってしまった。
これは日本国内で定着するのに、時間がかかりそうだ。
思い返してみると、現在主流化しつつあるアジャイル開発も、最初は文化運動(しかも、ある種のカウンターカルチャー的なもの)だった。「アジャイルソフトウェア開発宣言」が発表されたのが2001年で、そこから実に18年が経過しているのである。しかも、アジャイルソフトウェア開発宣言そのものが広く行き渡った事によってアジャイル開発が拡散したのではなく、様々なツールと開発方法論が整備されて、やっと広がったのではなかったか。
DevOpsの考え方やアプローチは正しいと思うし、好みでもあるのだけれども、改めて「DevOpsは文化だ」と言い切ってしまうのは、理解は出来るが残念でもある。もしくはまだ黎明期であると考えるべきなのだろうか。
というのが、本書の後半を読んだ率直な感想である。少なくとも本書は気軽に初学者には進めにくいし、上司に提言する際に活用する本でも無い(スタートアップや小規模組織では別かもしれない)という印象である。
落ち穂拾い
後半(第Ⅴ章以降)で興味深かった話について
第V部 スケーリング
DevOps組織の構築と成長に関する論点が整理されている。
特に興味深いのは、英国のGovernment Digital Service(GDS)という組織および小売大手のTargetの事例である。
GDSの事例は首相官邸にいい感じのサマリー資料があったのであわせて紹介しておく。
TargetについてはRedHatでも記事が出ているようだ。
内容とは直接的に関係しないが、比喩表現として以下が面白かった。
- ゾンビプロジェクトと、ヴァンパイアプロジェクト
- 改善を阻害するプロジェクトの例。
- たわごとの傘(shit umbrella)と、たわごとファネル(shit funnel)
- Google/GMailのプロダクトマネージャ Todd Jacksonの発言 “You can either be a shit funnel or a shit umbrella.” に由来するそうだ。
- Shit Umbrella売ってるぞ。When shit hits the fan – Go Weekly Insights – Medium
- Google/GMailのプロダクトマネージャ Todd Jacksonの発言 “You can either be a shit funnel or a shit umbrella.” に由来するそうだ。
第Ⅵ部 devops文化への架け橋
18章 devops文化への架け橋:人と人のつながりを育てる、で触れられている「文化的負債」の話が興味深かった。
採用や解雇、不適切なルールや組織階層の問題などに関してである。このワードはDevOps界隈では昔からある議論のようだ。
さて、84zumeさんはどんな感想だったのだろうか。意見交換が楽しみだ。