勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

万年筆のこと

普段使いの筆記用具に関して。約10年くらい筆記用具は万年筆にしている(補助的に蛍光ペンは時々使う)。その理由と経緯について。複数の人から聞かれたのでブログに書いてみる。



万年筆を使う理由

これは単純で、書くスピードが早くなるからである。ソフトウェア開発を仕事にしているのだけれども割と手書きをするシチュエーションは多い。

  • 手帳へのメモ
    • 一日一ページくらいはメモを取る。todoに始まり、会議や会話や電話の内容まで記録するメモ魔なので。
  • 構想、整理、モデリング
    • 何か考え事をするときに使うのもやっぱり紙とペンである。
    • 各種のツールを模索していた時期もあるのだけど、最終的には紙とペンに戻ってきている。
    • 最近は書いた後スマートフォンで写真を取って、紙は捨ててしまうことも多い。だから紙といってもノートは使わず、何かの裏紙やコピー用紙、レポート用紙などそこらへんにあるものを使う。
  • レビュー、校正、確認
    • 人の作成した資料や設計書などをチェックする仕事も割と多い。この際も印刷物にペンでコメントをいれるのが好み、というか自分的には早い。
    • 印刷できない資料の場合も、モニタを見ながら白紙にコメントを書いたりしてる。
    • コードの差分やメールなど断片的でそれぞれが短いものはさすがにデジタルの世界で片付ける

というわけで結果として仕事をしている間に大量にモノを書いている。レポート用紙一枚分くらいの文章であっても紙に書いてしまう。紙とペンの組み合わせは、自分なりにスピードとモビリティを追求した結果である。

そして最大スピードで書く時のツールとして、万年筆が定着している。一般的にも万年筆は筆記スピードが有利らしい。

司法試験を受ける人たちが勉強する、当店からも近い大学の法科大学院で合格した先輩が、後輩たちに「筆記具は万年筆がいい」と語ったという話を学生の方から聞きました。
その大学の法科大学院では万年筆が流行っているようで、受験生の方が来店される機会が多くなりました。
確かに長時間(最長で4時間)ぶっ続けで、しかもすごいスピードで書き続けなければならないという極限の状態は万年筆がその本領を発揮する場面なのかもしれません。
ある人によると、万年筆と普通のゲルインクのボールペンを比べた場合、書くスピードが1.5倍になり、後半になってもそのスピードは落ちないそうです。
http://www.p-n-m.net/column/column13.html

現在愛用しているのは安価なもの。金のペン先の高級品はそのうち試して見たいとは思うけど、気を使わずにラフに使いたいので今はこれでいいと思ってる。

万年筆派に至る試行錯誤の経緯

学生時代からわりと鉛筆やシャープペンシルの類は使わなかった。消しゴムというものが苦手なのである。試験の時だけ鉛筆と消しゴムを持っていってた。これは社会人になっても変わらず、資格試験の時だけ使う鉛筆がいまでも家にある。使っていたのは主にボールペンである。ゲルインクが登場する前は油性のものを使っていたと記憶している。ただ、油性のボールペンは液ダレが嫌いで、ゲルインクが普及してからはもっぱらゲルインクを使っていた。

社会人になってからもこれは変わらず。

悩ましかったのは筆圧である。クセなのだけれども筆圧が高くて、大量に文章でを書くと手が痛いのだ。そして中指には大きなペンダコ。とはいえ、社会人になってからそんなに大量に手書きをすることも減ってきていたので問題なかったのだが……

しかし、やってきたのだ。厳しいプロジェクトが。圧倒的に作業時間が足りなくなるような、ハードボイルドなやつが。

  • 単純に時間が不足
    • まあ見積りの誤りとかいろいろな要因があるのだけど嘆いても意味はない
  • 大量の文書をレビューしていく必要があるがPCベースでは間に合わない
  • 書き物もいっぱい
  • ノートPCの持ち込みとか持ち帰りとか不可
  • オフィスはそもそも夜は強制クローズ

で、苦肉の策で紙ベース+手書きというアナログ作戦に舵を切ったらわりと調子が良くなったのだ。何より積み上がった仕事が頑張れば減っていく感じがわかりやすくていい。未決箱 vs 既決箱。とはいえボールペンだと手が痛くてたまらないので、万年筆に切り替えてみたところ調子が良かった。なにより、紙の上を軽くなぞるだけで字が書ける!(あたりまえだ)。

その時からずっと、万年筆を使い続けている。

使っているペン

最初はウォーターマンの安価なものを使っていた。

その後、無印良品の万年筆に切り替え。インクはモンブランのカートリッジを利用していた。

現在は、パイロットのものを愛用中。

パイロット カクノ バイジェナーの万年筆

パイロット カクノ バイジェナーの万年筆

  • 発売日: 2015/01/31
  • メディア: オフィス用品
コンバーターをつけて、インクはこれに変えている。