勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

社内勉強会をやらない理由

ときどき「社内勉強会をやってほしい」という事を言われることがあるのだけれども、基本的には断るようにしている。その理由について。

社内勉強会は言われて始めるものじゃない

「社内勉強会をやってほしい」と人に言われても基本的には断っている。こういったことを言うのは自分の上司や関連部門の偉い人に多い。言う人は、きっとこんな期待をしている。

  • メンバーの底上げやレベルアップ
  • 生きた知識を現場間で情報共有する
  • メンバー間の交流でより良い結果が得られるようになる

でも実際に言われるがままに勉強会を企画しても、

  • 人が集まらない
  • 発表者が偏る
  • 発表者の負担が増えていき、開催されなくなる

ということになるのがわかっているから、実施しないのだ。

どうしてこんな事が起こるのかというと、単純にマーケットが小さすぎて、企画が成立しないのだからだと思っている。そもそも、コミュニティ活動を真っ当に実施できているエンジニアは少ない。

また、企業の形態にもよるのだけれども、勉強会で選定したテーマと同じ範囲を業務で扱っている人間そのものが、少ない。

  • 例えば技術者1000人規模の会社だとする(経営や窓際を除く)。
  • コミュニティ活動に参加するような技術者は平均10%だから、単純に計算すると参加者候補は100人。
  • さらにテーマ(例えば"ITプロジェクトマネジメント")に興味のあるメンバーで絞り込むと、このうち参加者候補は10%くらいになると思う。つまり10人(1%)くらいに。
  • 実際には、その10人(1%)のうち公私の都合などでさらに参加者候補は減る。
  • この時点でほとんど企画は成立しない。筋が悪すぎ。

というわけで、トップダウンで企画される「社内勉強会」はうまくいかないものなのだと思っているで、断るのだ。

普通に研修をやればいい

社内勉強会のオファーを断って、じゃあどうするのかというと、普通に社内研修としてやればいいと思っている。

  • 単純な講義形式だと外部研修と違いがなくなってしまうので、研修の中でもグループワークの時間を多めにする。
  • テーマに関して知っていることや考えている事、問題意識などを4人程度で話し合ってもらってその後にグループ発表してもらったりする。単純なワークでもけっこう盛り上がる。
  • 複数回の開催にして、うまく宿題を出すことによって、擬似的な勉強会のような運営も可能。

「社内勉強会」だと参加する人は少ないのに、「研修」だと参加者は多かったりする。不思議なものだ。

参考

なお社外の勉強会に出てみたいと思ったら、まずこの本がおすすめ(そういえば一冊持っていたのだけれども、だれかに貸しちゃったまま回収していないなぁ)

IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」 (技評SE選書)

IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」 (技評SE選書)

追記(2013/5/18)

以下ブログに取り上げていただいたのでリンクをご紹介しておく。ブログだけではなく、反応いただいた皆様、ありがとうございます。

  • 社内内弁慶を社外勉強会に参加させる方法: ソフトウェアさかば
    • 鋭い分析。『そのような人と比べて、社内内弁慶の人は勉強会の優先度が低いのです。それは、意識が低いと言うよりも、勉強会そのものを知らないからです。』というのは、なるほどと思った。私も同僚や後輩を勉強会に誘うことは多いので参考にしたい。
    • ただ、最終的には相手の価値観との戦いになるので、なかなか難しそう。
  • 社内勉強会はヤメだ。自主的はいらん、全員技術発表だ! - @ledsun blog
    • 『勉強会参加の欠点は「刺激にはなるが実力はつかない」につきる。』というのはその通りだと思う。
    • 発表会までするかは別にして、社員全員に毎年論文を書け、と言ってみたいと考えてみた事はある(未実行)。

なおわたしの文章の問題で誤解があるといけないのだけれども、自発的に社内勉強会をするのは別にいいと思う(というか個人の勝手だ)。仲間が自然と集まって、続けられるような形が社内勉強会の理想だと思う。ただ、それは人工的には作り難いのではないかと思う。