勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

会議進行と議事録とメタ視点

ちょっとした思いつき。会議進行が下手な人や議事録を書くのが苦手な人は、メタな視点を持てていないからなのではないだろうか。喋っている自分を含めた会議全体を意識してみることについて。

セカンド自分とサード自分

大人タバコ養成講座などで有名なデザイナーの寄藤文平さんの本「絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える」を読んでいたら、寄藤さんの面白い趣味というかゲームのことが書かれていた。本書では「自分チャンネル」という名前で紹介されている。やり方はだいたい下記の通り。

  • 自分を俯瞰するセカンド自分をイメージする
  • 自分とセカンド自分を俯瞰するサード自分をイメージする
  • この要領で俯瞰する視点を増やしていく
  • 寄藤さんは7人目くらいで吐きそうになってしまうらしい

ためしに自分でもやってみたら4段階目くらいで発狂しそうになった。7段階はもう想像だにできない。しかしやってみて気づいたのだけれども、3段階くらいの視点は普段から使ってるような気がしたのだった。

会議と議事録

自分がメインスピーカーやファシリテーターをやる会議では、一所懸命しゃべっているので、あまりたくさんのメモは取れない。しかし自分は意外とその会議の議事録を書くのが苦ではないのだ。会議の内容を思い出せる程度の要点に関するメモくらいは取れている。これを、自分のメモ術の凄さだと勘違いしていた。先ほどの「自分チャンネル」をやってみて気づいたのだけれども、自分は3つくらいの視点をもって会議に参加しているようなのだ。

  • 一人目は(当然だけど)会議に参加して喋っている自分。
  • 自分を含む会議全体を見ている記録係としてのセカンド自分。
  • プロジェクト全体の中でのこの会議の意味を考えているサード自分。

会議のメモを取るときに失敗しがちなのは、すべての会話をメモろうとすることだと思う。人の会話は無意味なものも多いし、全てを記録するのはどだい不可能だ(それでも必要なら録音するか専任の速記者を用意する必要があるだろう)。だからセカンド自分かサード自分の立場で要点だけメモを取る。これが出来るようになると、適度に要点を絞ったメモが作り出せる。議事録を作るのは苦ではなくなる。

もちろん混乱気味の会議というものもある。その時はセカンド自分として内容の確認を入れても良いと思う。会議の要所で、

  • 「ここまでをまとめると〜〜という結論で全員合意したという理解でよろしいですか」
  • 「今の〜〜という説明で皆さんが理解したと考えて良いですか」

などと聞けば良いのである。よく考えてみるとメインスピーカーも自分なのでおかしな進行なのだけれども、自分の中では視点を切り替えて別の人として話している。

会議テンプレートを作ればセカンド自分の視点は得やすい

とは言え実際に上記のようなセカンド自分の視点を得るのはなかなか難しいだろう。ならば、会議のテンプレートをうまく活用することで自然とセカンド自分やサード自分の視点を得られるようにすればいいと思う

  • プロジェクト全体における、「この会議の意味や目的」を明確にする
  • この会議自体の「ゴールや目標」を明確にする

こういったテンプレ的な確認作業を行うことで、第二、第三の視点を得ることができるのではないかと考えている。