勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

スケジュールの基本公式

開発スケジュールは人月の立方根に比例するという話。

つまりプロジェクトの全期間の長さは、それにかける必要工数の1/3乗におよそ比例する。この式によれば、たとえば00人月の工数がかかるプロジェクトでは、
 2.50 * (100^0.33) = 11.6ヶ月
かかるだろう、という予測が成り立つ。200人月なら、14.6ヶ月だ。
JUAS『ソフトウェアメトリックス調査2014』を読み解く : タイム・コンサルタントの日誌から

人月の立方根に比例する件は割と昔から有名で、詳しくはマコネルの「ソフトウェア見積り」に詳しい。同書では計数3.0が例として示されている。

  • スケジュール(月) = 3.0 × 人月 ^(1/3)

3.0は、時に2.0、2.5、3.5、4.0などのような数値になるが、スケジュールが工数の立方根の関数になるということは、見積りの専門家によってほぼ例外なく受入れられている基本的な考えである(具体的な数値は、組織の過去のデータを使った補正によって得られる)。1981年にBarry Boehmは、この公式がソフトウェア工学において最も多用されたものであると論評している(Boehm 1981)。過去数十年にわたり、このスケジュールの公式の正当性を認めるために、さらに多くの分析が続いている(Boehm 2000, Stutzke 2005)。
ソフトウェア見積り 人月の暗黙知を解き明かす

ただ、同書でも注意されていることだが、この公式はあくまで早期にスケジュールを見積るためのものであり、制約もある。また、小規模プロジェクトにも大規模プロジェクトにも適していない。そういった制約を理解せずに公式だけを取り上げて活用すると、事故のもとである。