勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

ゴール、質問、メトリクス

学習メモ。未読のまま半年以上放置していたIPAの「組織内のIT戦略の立案および、IT化評価の意思決定支援を行う教材・ツールを更新」という記事をやっと読んだ。GQMというビジネス分析手法(?)について。

GQMについて

IPA/SECでは、企業におけるIT化が業務の省力化のみならずビジネスの差別化の源泉となる、という観点から、2007年7月よりドイツの実験ソフトウェア研究所(IESE)と共同でGQM+Strategies®の研究に取り組んでおり、2012年9月27日には「GQM+Strategies®ワークショップ教材・ツール(平成23年度版)」を公開しています。
この度、利用者からの要望を踏まえ、以下のとおり内容を改訂した教材・ツールを平成24年度版として公開しました。
IPA/SEC:組織内のIT戦略の立案および、IT化評価の意思決定支援を行う教材・ツールを更新 

  • 上記のページからダウンロードできるチュートリアルの末尾に「関係するアプローチの概要」という紹介があり、各種の類似手法と比較されている。登場するのは「CoBIT」「PSM」「BSC」「Six Sigma」など。上記のページだと各種法の概要とメリデメも整理されていてこれも興味深い。
  • GQMは「Goal」「Question」「Metrix」の頭文字をとったもの。ストレートすぎる。
  • 要は「測定目標(goal)を設定し、(モデルベースで)質問(question)を立てた上でその答えを得るような測定項目(metrix)を設計する」というアプローチで戦略の実効性を図るといったものだと思う。

割と最近流行っているリーン・スタートアップで語られているものとの類似性が気になっている(もっとも、あちらは高速で仮説検証していくという特徴があるが)。リーンではGQMにおけるQuestionに当たるものがMVPであるような気がする。

そのリーン・スタートアップも「みんなが既にやっていたものに上手く名前をつけて流行った」とRebuildのポッドキャスト伊藤直也さんが語っていたのを聞いてなるほどと思ったものだ。

GQMも割とあたりまえというか普通の考え方を奇麗に名前づけて整理したものと言えるかもしれない。

エセ品質ゲート

メトリクスは便利で強力なツールなのだけれども、「プロセスごとコピー」してしまうと無意味なものになってしまう。典型的なものはエセ品質ゲートだ。

マイルストーンに達したり、イテレーションが終わったりすると、多くの組織はその結果について定型化された品質チェックを行う。この品質チェックは、たいてい2つのパートに分かれる。ひとつは、期待どおりの成果物が期待どおりの形式で作成されていることを確認する「形式チェック」である。もうひとつは、それぞれの成果物の内容が適切か、正確か、プロジェクトとして十分に完成されているかを確認する「内容チェック」である。最初は構文、次は意味である。
しかし、意味が欠落していたら、成果物の構文を心配してもしかたがない。
アドレナリンジャンキー プロジェクトの現在と未来を映す86パターン エセ品質ゲート、より

あたりまえのことなのだけれども、GQMの考え方で言えば「Goal」と「Question」もあわせてプロジェクトに持ち込まなければいけない。そしてフィットしない部分を見直さなければいけないのだ。手軽に「Metrix」だけをコピーしてきても、目的に即した計測になるわけではない。

アドレナリンジャンキー プロジェクトの現在と未来を映す86パターン

アドレナリンジャンキー プロジェクトの現在と未来を映す86パターン