読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

「高品質のための超上流工程における企業の課題・取組み事例集」を読んだ

IPA/SECが2013年3月に公開した「高品質のための超上流工程における企業の課題・取組み事例集」を読んだ感想。サブタイトルには『超上流工程の検討精度の向上に関する調査報告書』とある。やっぱり銀の弾丸はないのだけれども、知っておくべきことはある。

当たり前が難しいということ

この報告を読むと、驚くほど普通で当たり前のことが書かれていてびっくりする。

 目的の明確化をはじめ、いずれも極めて基本的な事柄であり、恐らく誰もが「当たり前」と思うに違いない。今回の調査を始める前は、8年前と比べて変わっているところや、時の流れを経て新たに登場した課題があるのではないかと思っていたが、今回の調査結果をご覧いただければお分かりのように、「何も変わっていなかった」と言っても過言ではない。システム開発の現場には、これらの基本的な課題が厳然としてあるのである。
 しかし、こうも言えるのではないだろうか。
「これらの課題は簡単に駆逐できるものではない。継続的な取組みによって、粛々と解決していかなければならないのだ」と。
IPA-SEC 高品質のための超上流工程における企業の課題・取組み事例集「2.1 総括」より引用

銀の弾丸はここにも無いのである。だからこそ、狼男研究を続けて、地道な努力が必要なのだろう。

マインドマップとアンケートデータ

さてこの報告の面白い点は、アンケートデータがExcel形式で付属していることと、それを整備したマインドマップが付属していることである。

  • Excelデータは、「事業戦略・事業計画」「システム化の方向性(検討)」「システム化計画」「要件定義」の領域ごとの課題と解決策(取組み)の列挙である。
    • 課題には網羅性があるわけでも、解決策が完成されているわけでも無い
    • しかし、こういった「事例の固まり」を眺めながら、手元のプロジェクトや組織の悩みを考えてみるには、良いツールだと思う。
    • Excelデータなので、いろいろと加工しながら分析することも可能である。
  • マインドマップは残念ながらPDFで提供されているのみ。おそらくFreeMindで書かれているのだけれども、mm形式ファイルが付いているとなお良かった。

本報告を読んだからといって、新たな着眼点や発想が得られるわけでもない。しかし、企画や事前検討といったシステム開発以前の工程を考える際の武器の一つとして、知っておいて良い資料の一つではないかと考えている。