勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

Devlove HangarFlight -BlizzardSailing- に参加して社内内弁慶について話した

2/15に「Devlove HangarFlight -BlizzardSailing-」という勉強会に参加したメモ。気楽に聴講するつもりだったのだけれども後半のFutureCenterセッションではマンマと1テーブル割り当てられてしまったので「社内内弁慶」というテーマで、エンジニアの学習姿勢などについて議論してしまったのであった。

これからの、ソフトウェア作りのために。

様々な企業の活動を支える、SI/受託開発。これからも多くの人たちから必要とされることでしょう。
そもそもソフトウェア作りとは創造的で難しく、刺激的で楽しいものです。
ソフトウェア作りは、多くの課題に直面します。自分には越えがたいと感じる課題、気持ちを砕く制約に遭遇することもあるでしょう。どのような課題を、どのようにして乗り越えていくか。
それを発見し、知恵を出し合うために、DevLOVEは存在します。
今回のDevLOVEのテーマは、「これからの受託開発」です。開催にあたって、TISの川島義隆さんをお招きします。
これからの受託開発のために、何ができるのか。川島さんには、エンジニアリングとマネジメント両面からお話を頂きます。川島さんのストーリーを踏まえ、考える時間と致しましょう。

instagr.am

これからのふつうの受託開発 - 手塚モデル -

勉強会の前半戦は下記の発表の再演といった内容。以前に資料は目を通していたような気がする(うろ覚え)

以下個人的な感想メモ

  • 「オーソドックスにやるのは難しい」については全面的に同意。ただし、そもそものEngineer's Lifecycleに入ってくれない人も多いのが難点だと思う。
  • 「駆け出しを引き受けて」という点と、役割分担の工夫で駆け出しをEngineer's Lifecycleに放り込むパワーを感じさせる点は素敵。
  • 手塚モデルは、最終的にはスケールし難いような気がする。SIerに求められがちなレバレッジを効かせる事がし難い(もしくはチームにおける手塚先生がボトルネックになる)のではないかと漠然と考える。
    • そもそも、このパターンは再委託を行わないスモールチームを前提としている。残念ながら「ふつうの受託開発」でそれをやるのは結構難しい。
  • オープンソースとの付き合い方は興味深い。ただこの手法を全うに組織で貫通させるのはかなりの工夫がいるような(もしくは鈍感力発動)。

FutureCenter - 「社内内弁慶」について

instagr.am

後半戦はFutureCenterといって、勉強会の申込時に記入したアンケートから面白そうなテーマを7つくらいピックアップしてテーブルに割り当て、テーマに興味のある人がそこに集まって意見交換するというスタイルとなっている。アンケートに何を書いたかうろ覚えなのだけれども、ふとプロジェクターの表示を見ていると「社内内弁慶」というテーマと自分の名前がorz...。

というわけで急遽「社内内弁慶」というテーマで集まっていただいた複数名の方とディスカッションを行うことに。以下、ディスカッションを行いながら書きなぐったメモ。

  • 「社内内弁慶」とは何か?(わたし)
    • 自所属組織の中ではそれなりの立場・肩書きで行動する割に社外に出て行かない人、のことをイメージして書いた言葉。オレオレプロフェッショナルのこと
    • 特にこのIT業界においてそのスタンスはどうなのだろうか
  • 一部のエンジニアはどうして勉強会に行かないのか?
    • 「忙しいから」「業務に追われている」
    • 「興味はあるど行動にうつせない」「(社外)勉強会のハードルは高い」
  • 社外に出ていかなくてもいいのではないか?
    • 社内であっても十分に付加価値を創造できていたり、顧客に価値を提供すれば無理をする必要はない
  • 実際の所、自発的に外に出ない人が多い
    • 指示すれば(セミナーや研修などを含めて)行く。自分から申し出て行く人は少ない
  • 本当に「忙しいから学習しない」のか?
    • 実際には忙しい人ほど勉強会などに参加しているのでは?
    • 忙しい人は、実際には業務をこなしている
  • 『忙しいから勉強するのだ』
    • この発想ができない人が、いる。
  • 学習するということの定義が人によって違う
    • (A) 忙しいからこそ学ぶという姿勢
      • このタイプの人はどんなに劣悪なセミナーからでも自発的に学ぶ
    • (B) 学ぶというのは強制されてるすものという姿勢
    • (C) 学ぶということは趣味や遊びでするものという姿勢
      • 学習するということは試験で100点を取ることと考えている。100点を取るのが大変だとわかると、諦めてしまう
  • 「今のままでも問題ない」と考える人は、勉強会などには行かない
    • 本当に? 3Kとか言われている業界なのに?
    • ただし価値観の問題なので、変えるのは難しい。余計なお世話になってしまう
  • 勉強会に行くような人 = 「未来の為に備えるマインドがある」人?
    • 将来を予想できているか?
  • どうやったら「学習する人」に変化させることができるか
    • 立場を変化させることによって実現する。前半の川島さん発表におけるエキスパートバッジシステムなど。「◯◯担当」という役割にすることで「知らなきゃいけない」という考えをもたせる
    • 変化がなければ行動は生み出せない。

特にオチはないのだけれども、上記のような内容について年代や立場も違う複数人で意見交換できて面白かった。もちろん議論する誰もが「自発的に勉強会などに参加するマインド」の人ばかりなので、そうではない人を(批判無く)考えるのはけっこう無理もあるのだけれども、いろいろな視点があり議論は尽きなかった印象。

途中でも出た話題なのだけれども、究極的には「継続して価値を創造し続けることができれば」勉強などはしなくても良いのだろう。しかし、実際には学習無くしてその実現は難しい。それをどう自覚していくのかという問題なのかもしれないと考えた。

プロフェッショナルとしての存在価値は、専門的知識や技術をもつことにあるのではなく、むしろそういった蓄積されたものに安住することなく、状況に応じて自分を進化させ、イノベーションを生み出すことにあると考えられるようになったのだ。
プレイフル・シンキング