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勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

CCPMを使って組織にアジリティを注入するのは冴えたやり方

先日公開された「NTTデータはどうやってCCPMを導入したのか?」という資料を見ての感想。アジャイルという言葉を前面に持ってこずに、しかし結果として主にスクラムを中心としたプラクティスを現場に注入している(ような気がする)。CCPMを使って組織にアジリティを注入するのは冴えたやり方だなぁと思った。

そういえば、技術士の二次試験の口頭試問で自分のプロジェクトの進め方を説明した時に試験官から「制約理論を勉強されたのですか?」と聞かれたことを思い出した。自分としては(制約理論は知っていたけれども)プロジェクトの特性に合わせてアジャイルプラクティスをつまみ食いして運営していたつもりだった。結果としてCCPMに近いことをやっていたのかもしれない(ごっちゃになっていたのかも)。

部分最適が現場を悲惨にしている

制約理論(TOC)というとピンと来ないかもしれないが、10年以上前にベストセラーになったゴールドラット博士の「ザ・ゴール」で紹介されている手法のことである。

本書が長い間日本で出版されなかった理由については、「解説」で著者エリヤフ・ゴールドラットのコメントが引用されている。それによると、「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」というのが出版を拒否し続けた理由らしい。
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か Amazonの商品説明より抜粋

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

よく批判されている国内SIerの「計画主導」「ルール主義」のソフトウェア開発プロジェクトは部分最適の最たるものだと思う(特にヒドイやつに限っては)。ソフトウェア開発の工程の能力を最大化したり、要員を投入したとしてもプロジェクト全体のスループットが上がるとは限らないということなのだと思う。特にソフトウェア開発においては個別の作業完了に必要な時間のブレが大きく、かつ遅れやすい(この特性についてはこの記事)で書いた。

スコープ可変ならアジャイル、スコープ固定ならCCPM

冒頭に紹介したスライドの発表についてのレポートが、ソフトウェアさかばさんに載っていて興味深かった。

講師が市谷さんと柴山さんだった事もあるかもしれませんが、アジャイル開発の話を聞いているような気がしました。リーンもスクラムもCCPMを包含するTOCもTPS(トヨタ生産方式)から生まれたと言われていますので、当然かもしれません。
CCPMのグッときた話 - TOC/TOCfE関西分科会 -: ソフトウェアさかば

スコープ固定ならCCPM、可変ならアジャイルという使い分けは非常に冴えたやり方だと思う。

CCPMによって工数がかからなくなった場合、その利益はどこに行くのか

最後に、懇親会での話題を書いておきます。CCPMによって工数がかからなくなった場合、その利益はどこに行くのか?という話題がありました。請負なら受けた側の利益になって良いはずですが、お客様が期間短縮のメリットだけで納得していただけるか難しいところがあるかもしれません。
CCPMのグッときた話 - TOC/TOCfE関西分科会 -: ソフトウェアさかば

個人的にはこう考えている

  • 一部は利益とする(リソースのバッファを一部開放して利益化)
  • 一部はシステムの機能向上や関連文書の整備などを行いユーザの利益とする
  • 加えて、稼働率を落として(休暇や早帰りなど)開発者ボーナスにする

計画上の収益は基本的に得られているはずなので、残バッファはステークホルダーで配分すべきだというのが、意見である。