勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

How to Change the World

達人出版会から発売された「How to Change the World〜チェンジ・マネジメント3.0〜」をさっそく読了したのでその感想など。

ボトムアップで世界を変える

「世界を変える」といった壮大なタイトルに惑わされてしまうけれど、本書は「身の回りから変化を起こす」ことについて書かれた本だ。

私の友人Olaf Lewitzが言ったように、「我慢するか、辞めるか、変えるか......」だ。
私は3つ目を選択する人のためにこの小冊子を書いた。
How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜(序文より)

紹介されている内容はアジャイル開発におけるプラクティスのように、シンプルでわかりやすい。実践とフィードバックで「世界を変える」ことができるのかも知れない。残念ながらコンセプトめいていて事例がないのがすこしとっつきにくいように思うけど、それは今後コミュニティなどで育っていくのだろうかと思う。

というわけで、ポケットにいれておく知識セットとしてなかなか良いのではないか、というのが正直な感想。価格も手頃なのがいい。

世界の変え方は一つじゃない

ただ気になるのは、「世界の変え方は一つじゃない」ということ。小さな組織や若い組織と、大きくて伝統のある組織では「変え方」は異なるだろう。だから本書もひとつの選択肢としてポケットにいれておくのは良いと思うけど、使うときにはよく考えたほうがいい。

本書を読んで思い出したのは「学習する組織 現場に変化のタネをまく (光文社新書)」。こちらはどちらかと2.0な内容で、トップダウンで組織変革を行うことについて書かれていた(手元に原著がなく、抜き書きしかないのだけれど)。

本書は、組織の中にいて組織を変えていきたいと思っている人と、居酒屋で一緒にその方法について語り合う(ダイアローグ)ような内容にしたかった。難しい理論を解説するのではなく、現場の生きた知識を交換し合うような分かりやすい語りで、組織を変革するにはどうしたらよいのか、その方法を探求してみたいと思う。
学習する組織 現場に変化のタネをまく (光文社新書)

(やってみたことがないのでわからないけれども)ある程度の規模の組織を変化させていくのであれば、本書で紹介されているような「トップがビジョンを熱く語って」組織を変えていくようなアプローチのほうがうまくいきそうだと思う。

どちらにせよ、世界を変えるのであればひとつの手法にこだわらず、いろいろなものをポケットに入れていくのが良いのではないだろうか。

余計な一言:PDFの互換性・版組について

今回はPDF版を購入ダウンロードして閲覧したのだけれども、一部に埋め込みではないフォントが使われているようだ。自分のスマートフォンで使っているPDFビューアではうまく表示できなかった。ダウンロードしたPDFをMacでもう一度PDFに書き出したら事象は改善した。ちょっとポータビリティに難ありな気がする。

わたしは電子書籍はPCかスマートフォンで読むのだが、余白やフォントの大きさは、達人出版会の標準の版組がとても読みやすいと思っている。本書は若干余白小さめ、文字小さめで、工夫しないとスマートフォンの画面では読むのは難しかった。まぁ、EPUBも提供されているのでこれを加工すればいいのかもしれないが、ちょっとめんどくさい・・・・・・。

【2012/7/31追記】

上記の指摘はすかさず修正いただいた。バージョン 1.0.2 からは問題なく参照できる。

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