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勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

技術士(情報工学)の勉強法

ソフトウェア開発の分野では比較的マイナーな資格ではあるが、技術士(分野は情報工学)の資格を取得したので参考までに勉強法を公開する。技術士という資格についてはWikipediaも参照のこと。ソフトウェア開発の分野では様々な資格や試験があるが、知識や能力だけではなく、特に「技術者倫理」や「継続的な資質向上に努める」といった姿勢が評価されるのが特徴である。私は尊敬するエンジニアが技術士だったことが主な受験動機だつたが、ITエンジニアのひとつの目標としてチャレンジする価値は十分にあると思う。すくなくとも思考の訓練にはなる。

受験検討

とりあえず試験の仕組みや雰囲気を以下の書籍で確認。

新版 技術士補試験に合格する本
福田 遵
日本能率協会マネジメントセンター
売り上げランキング: 664655

挑戦するとなると最短でも2年以上のチャレンジとなるので、勉強を始める前にどのような勉強を今後していくのかを確認するのが重要だと思う。同書は現在は絶版のようだが、似たような書籍は多いので適当に選べば良いと思う。

一次試験対策

けっこう悩んだが、参考書籍などは購入せずに以下の通信講座で愚直に学んだ。スクーリング(対面セミナー)は申し込まず、通信講座のテキストをひたすら読み込んで、受験生のように要約ノートを作成して試験に望んだ。

試験会場に行くと周りの受験生が見たこともない参考書を読み込んでいたりしてかなり焦ったが、一次試験は無事に一回で合格。

二次試験(筆記)対策

二次試験は筆記試験と口頭試験の二段構え。一次試験と同様に通信講座での学習を行った。スクーリング(対面セミナー)なしのコースを選択。

筆記試験は論述なので極論すると通信講座の受講をしないで独学で勉強することも可能かもしれない。しかし自筆の小論について専門家に論評してもらえるのは大事だと思う。

もうひとつ、通信講座で良い点は試験申し込み時に提出する申込書と業務経歴票の添削がある点だ。筆記試験に合格した後には口頭試験が待っているのだが、そこでは自らの経歴や専門が問われることになる。それを意識した業務経歴票を書かなければならないのだけれども、専門家に具体的なアドバイスをもらえるのが有難かった。実際な私が最初に書いたものはボロボロに批判され、目が覚める思いだった。二浪(三回目で合格)したけど、通信講座は初回だけ受けて、テキストやアドバイスはずっと参考にしていた。

論文については、広く問題意識を持って情報収集することと、自分の意見を文章化する訓練をするに尽きるかと思う。技術士試験の対策というわけではないが、私は「超」文章法 (中公新書)が文書の書き方の参考になった。

「超」文章法 (中公新書)
野口 悠紀雄
中央公論新社
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もともと読書量は多い(漫画と雑誌以外で年50冊以上は読む)ほうだったけれども、話題の技術書とビジネス書を月に計2冊以上は読んで、自分なりの抜き書き・要約なども作っていた。写経・・・ではないけれども、目次をバーッとGoogle Docsに書きだして、各章の要点などを書くスタイル。文章の構成や論旨の組み立て方などの参考になっていたと思う。

あとは、IT系の業界紙などを見ながら試験に出そうな話題(例えば、震災時のBCPとか、クラウドサービスに関してとか)を自分で予想して、回答案を考えるなどのイメトレを試験前にやっていた。

二次試験(口頭試験)対策

二次試験(筆記)を合格したら、口頭試験を受けるためにまず技術的体験論文を提出する必要がある(郵送などで提出)。業務経歴票に書いた業務からピックアップして、技術士(を目指す者)としての立場で小論文を書くのだが、意外と期限が厳しい。筆記試験の合否がわかる前から作成に着手したほうが良いというアドバイスもあるようだが、私は筆記試験の合格がわかってから書き始めた。参考にしたのは下記のサイト(というか、このサイトしか見なかった)。

書き上げた後、嫁(国文学科卒)に文章校正とチェックをお願いして、わかる範囲でくどい文章や表現を修正して提出。

続いて口頭試験になるのだが、これはもう自分自身しか武器が無い(まったくの手ぶら、資料ナシで自分の経歴と技術的体験論文、その他一般的な質問に答えなければいけない)。引き続き上記のサイトなどを参考に、私は想定の台本をまず作り上げて、1週間前から声に出しての練習をやって臨んだ。練習といっても丸暗記する必要はないので、よどみなく答えられるくらいになっていれば良いと思う。もちろん本番では台本通りというわけにはいかなかったが、一部分でも台本通りの箇所が出てくると安心して答えられたし、自分のパニック防止に良かった。

なお、実はYoutubeに技術士試験対策のセミナー動画がたくさん存在する。私は直前まで存在を知らなかったのだけれども、これらも参考になると思う。私は口頭試験の前日に存在を知っていくつか視聴したのだけれども、単にプレッシャーが高まっただけだった…。

資格に関して

技術資格については人によっていろいろな意見があると思う。私が最初に勤めた会社は情報系の資格について強制力が強くて、エンジニアは「市場価値」をつけるべきという説明を受けていた(一定の資格を持っていないと昇進も出来ない制度だった)。その時には面倒だという気持ちがあって、資格の勉強は心がけてはいなかった。その後に転職した会社では特に資格については触れられることがない(報奨金も無い)のだけれども、逆に自己の能力向上のベンチマークが無くなってしまったので、資格を受けるようになった。人間というのは不思議なものだと思う。

専門性というのは飯を食っていくために大切だ。しかし専門外の分野は無知で良いということもない。資格の勉強をするということは、ある一定の領域について広く網羅的に学ぶということなので、知識の基礎体力づくりに最適だと思っている。

また、今の世の中では(特にITの世界では)学習しつづける姿勢がとても重要だ。この学習姿勢を維持するのはけっこう大変で、自分なりのテーマや問題意識を持っていないと続かない。資格取得は(合格するまで)継続しやすいお手軽なテーマともいえる。健康を気にしてスポーツジムに通うような気持ちでチャレンジすればいいと思っている。