勘と経験と読経

略すとKKD。ソフトウェア開発やITプロジェクトマネジメントに関するあれこれ。

Requirement Developments

Software Requirements Essentials(2023)をざっと読む

「ソフトウェア要求 第3版」の著者であるKarl Wiegersの新著が出ていたので、ざっと読んでみる記事(あるいは読んだ記録)。 「私はかつて、過去10年間でベストセラーになった要件エンジニアリングの本を10 冊を読んだことがあります。この1冊には、それらの…

2023/11/14 Findyのイベントで要件定義に関して話します

先日公開した「実践要件定義入門以前」と「実戦要件定義入門」の記事からお声がけいただき、少し時間を貰って話をすることになった。X(旧:Twitter)がいろいろと壊れているので、ここでも告知しておく。findy.connpass.com先の記事で書かなかった(うまく…

実践要件定義入門

最近ネットを見ていると要件定義入門的な記事とか、あと要件定義は不要みたいな記事が目についたので思ったことを書いてみる記事その2。ITシステム開発における要件定義に関するあれこれ。本記事には前編があります。目次 要件定義以前 要件定義の進め方 IP…

実践要件定義入門以前

最近ネットを見ていると要件定義入門的な記事が目についたので思ったことを書いてみる記事。ITシステム開発における要件定義に関するあれこれ。【2023/10/10追記】続編の記事を書きました。実践要件定義入門 - 勘と経験と読経目次 要件定義に関するおすすめ…

要件定義を専門でやる技術者(Requirement Engineer)に関する雑感

タイムラインに流れていた『もう発注側企業に要件定義能力はないので、要件定義を専門でやる技術者(Requirement Engineer)が世界でも日本でも出てきている』という話に関する極めて個人的な雑感。あるいは記憶のダンプ。b.hatena.ne.jp 要件定義を専門でやる…

要件定義ではHowじゃなくてWhatを語れという話

ソフトウェア開発における要件定義では「要件定義ではHowじゃなくWhatを語れ」とか「UIの議論の前にシナリオ/ユースケースを整理しろ」という話を最近何度かすることがあった。この考え方は過去のいろいろな学習経験とプロジェクト経験から来ているのだけれ…

データフローダイアグラム(DFD)は要件定義では有用ではない

タイトルは言いすぎかもしれないけど、最近のソフトウェア開発においてDFDを書くことはあまり合理的ではないという話(例外はある)。最近DFDについて相談されたので調べたり考えたりしたことを書く。 データフローダイアグラム(DFD)について 構造化分析モ…

上流工程のイバラの道:More About Software Requirements: Thorny Issues and Practical Advice 読んだ

「ソフトウェア要求 第3版」といえばソフトウェア開発における要求エンジニアリングの鉄板本である。版を重ねて最新版は第3版だが、ちょっと調べ物をしていたところ、第2版には続編が存在することを知った。サブタイトルが興味深いのと、O'Reillyのサブスク…

要件定義の工数の見積もり

いつか読もうと思っていた名著「ソフトウェア要求 第3版」をやっと通読し終わった。高価(定価が7000円超)なのがネックだけど要件定義のバイブルとしてはいい感じ。いろいろな論点があるのだけれども、要件定義の工数見積もりについての言及が興味深かったの…

ソフトウェア顧客の要求に関する権利宣言と責任宣言

いつか読もうと思っていた名著「ソフトウェア要求 第3版」を読んでゐる(例によってKindleのセールで購入。なお現在はほぼ定価に戻ってるので注意) 以前にこのブログで言及したソフトウェア顧客の権利と義務についての章を読んだのでその雑感と関連思考につ…

要求定義と外部ベンダーの関係

遅ればせながらも「情報処理学会デジタルプラクティス14号 (要求工学特集)」を読み始めている。欧米と日本の要求定義の違いについて、割と根本的な違いに気付かされた。洋モノの技術書を読む際にはちょっと気をつけるべきかもしれないと思った次第。 http:…

戦略リバースのこと

ソフトウェア構築におけるプロジェクト以前の工程、いわゆる企画とか(超)上流工程という領域について勉強していると、よくこういう声が聞こえる。「それはお客様が決めるから」「言われたことしかやれない」。そこで挫折して目を閉じてしまって、ソフトウェ…

コタツモデル・リローデッド

ソフトウェアさかばさんでコタツモデルが取り上げられていた。コタツモデルは、要求開発で比較的よく持ち出されるメタファーの一種。要求開発は前身がUMLによるビジネスモデリングの研究会であったこともあり、基本的にUML指向・モデリング指向の方法論とな…

要求開発アライアンスでDMBOKの話を聞いてきた

2012/12/3に開催された、要求開発アライアンスの勉強会に参加した。実際には大いに遅刻してしまったので前半の発表内容はフォローできていないのだけど、いくつか興味深い話も伺えたので整理がてら公開するもの。 アジャイル開発を可能にするエンタープライ…

要求開発のホームグラウンドについての考察

要求開発はソフトウェア開発の企画・要件定義向けの方法論ということになっている。しかしわたしはこれが適用できる領域は限られていると考えている(詳細はこちらのエントリを参照)。では、要求開発が適用できる分野はどこか。 要求開発のおさらい 本論に…

上流工程の失敗カタログ

他のエントリを書いているところなのだけれど、面白い資料を見つけたので紹介。私は失敗談にこそ学びがあると思っているのだけれども、こんなところに上流工程の失敗カタログがあったのだった。 「要求開発・管理ベストプラクティスとその体系化の調査研究」…

ローカルな知としての要求開発

ソフトウェア開発で最も難しいのは「何をつくるかを決める」という点だ。要求(Requirement)を適切に捉えることができなければ、「役に立たないソフトウェア」や「動かないソフトウェア」が出来ることになる。実際にソフトウェア開発プロジェクトの失敗要因の…

要求の焦点、あるいはUX的なアプローチをいつ使うべきか

ソフトウェア開発の企画や要件定義といった工程で、UX(ユーザエクスペリエンス)あるいはUCD(ユーザ中心設計)のアプローチを用いることが話題となっている。Apple製品などを引合いに出して、競争力の高いソフトウェアを検討することは場合によっては重要かも…